□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□    乙女高原ファンクラブ 公認  乙女高原メールマガジン 第103号 2004.5.12. 発行者:植原 彰 (乙女高原のある町・牧丘町在住) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・   ▲▼ も く じ ▼▲ NEW! 0.【ニュースニュース】 NEW! 1.【意見交換】 風力発電についての意見 ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■   0.【ニュースニュース】 ●@今日(5月12日),乙女高原ファンクラブの世話人会があったのですが,牧丘町教 育委員会の方が「まだ,乙女高原グリーンロッジの夏の管理人が決まっていないの で,探していただけないだろうか?」と話していかれました。わざわざ9時ころい らっしゃったところをみると,かなりせっぱつまっているんだと思います。  7,8,9月の3ヶ月間。8000円の日当だそうです。原則としてこの3ヶ月の間お願 いしたいそうです。何人かで分割して管理してもいいのか? 都合がいい1ヶ月だけ ならなんとかなるが・・・・など,詳しいことは教育委員会に聞いてください。電話 番号は0553-35-3612。担当の大崎さんは乙女高原ファンクラブの会員でもあります。  グリーンロッジは教育委員会の管轄です。もし,ここの管理人を乙女高原ファンク ラブから出せたとなると,ロッジがとても使いやすくなるし,教育委員会に「貸し」 をつくることになるので,まことに都合がいいのですが・・・。どなたか夏の暑い時 期,乙女で避暑しませんか? ●A5月9日(日)の遊歩道づくりには今までで最高の35名が参加。あいにくの雨でし たが,午前中に作業が終わってしまうほどでした。(株)田丸(グリーン基金)より 7名の方々が作業に参加してくださいました。ありがたいことです。 ●B乙女高原ファンクラブの次回世話人会は,6月2日(水)午後7時半から,牧丘 町総合会館です。ファンクラブ会員であれば,どなたでも参加できます。どうぞ,お いでください。 ------------------------‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐     1.【情報公開】  ●風力発電についての意見●  「さすがはインターネット!」と改めて思いました。乙女高原での風力発電の計画 をお知らせしたところ,さっそく情報やご意見をいただくことができました。多くの 方と共有したいので,ご本人の了解を得て,以下に転載させていただきます(ただ し,氏名の公開は無しにして,イニシャルにしました)。  また,以下の意見のほかにも「(財)日本野鳥の会で出した風力発電が野鳥に与え る影響についての報告書があるよ」という情報を長野のSさんからいただきました。 さっそく野鳥の会に問い合わせたところ,送料こちら負担で送っていただけるとのこ とでしたので,送っていただきました(今日,届きました)。  ●静岡のKさん●  2月に静岡県主催の風力発電の研究会に出席しました。静岡県でも海岸の防風林に 風車が急速に建設されています。クリーンエネルギですが、広大な土地を必要とし、 景観問題もあります。電力消費地の大都市に作ることも可能です。東京都の埋立地に あります。  風車は横一列に設置し、縦一列にすることはできません。これは風車の風下に渦が でき、風下では風車をまわすことができません。この風下の渦による障害は聞いてい ません。ちょっと心配です。  設置場所は搬入道路をつくり、広い範囲を整地します。尾根を削ることになり、工 事で外来種が進入し、大きな環境負荷になることでしょう。  【背景】  原子力発電が行き詰まりそうなのと、京都議定書のCO2削減を達成できそうにな い。原子力発電は燃料が高いのと、放射性廃棄物の処理によりコストが増加している ようです。2000年前後に予想した石油危機がおこらず、原油価格が安定しています。 火力発電に対しコスト競争力がなくなっています。(原子力は低コストというCMを 見た覚えがある)  環境省は国立・国定公園内における風力発電施設設置に関する基準案を発表し、公 園内への風力発電所の建設を制限(禁止)。  天竜川河口に風力発電機が稼動しました。野鳥の会遠江支部の北川さんによると、 遠州灘の防風林の松林は渡り鳥の通路(コリドー)になっています。これをさえぎる ため、渡り鳥は海上か1q内陸部を迂回しているそうです。  【三重大教授の話(研究会で)】  野鳥の衝突があったので、最近は衝突防止のためプロペラの先端速度を落としてい る。つまり回転を遅くしています。  【日本電源開発の話(研究会で)】  景観、自然保護のためプロペラ径、塔高さの大きい大型機にし設置数を減らした。  ●東京のOさん●  世界的には、ドイツ、アメリカ、スペインが風力発電の導入ベスト3です。世界の 風力発電の69%が以上3カ国に設置されています。以下、4位がデンマーク、5位 がインドです。日本は第10位につけています。これは健闘というべきでしょうか?  条件が異なるインドは別にして、1〜4位までの国では、自然エネルギー源からの 電力を買い取ることを電力会社に義務づけています。日本にはそのような法律がな く、電力会社の「好意」によって買い取ってもらっています(わが家の太陽光発電も そうです)。風力発電に関しては、任意または入札を実施して、買い取ってきまし た。これまで主に風況のよい北海道・東北電力管内に偏っています。  買い取り義務づけがないのに日本で風力発電がそこそこ設置されてきたのは、補助 金と村おこしです。風力開発コンサルタント(主に商社系やゼネコンまたは鉄鋼・プ ラントメーカー系)が風況のよい自治体を回り、設置を働きかけてきたのです。自治 体独自で設置したところ、3セクをつくったところ、企業だけでやっているところさ まざまですが、ゼネコンやメーカーは風車を売り設置することで利益が上がります。 その上、電力の売上でもうかる、二度おいしい事業なのです。ところが考えてみてく ださい。地元に雇用は発生せず(メンテナンスはリモート操作でできる。地元事務所 は1〜2人のスタッフでまかなえる)、わずかな税金(年間2000万円程度)が落 ちるだけ。地元に吹く風による果実(売電収入)のほとんどは都会の企業に持ち去ら れるのです。  ドイツやデンマークでは、地域の人々が共同出資で風車を建設しています。企業が 建設する場合でも、地域住民に出資を求めるケースがほとんどです。地域の風は地域 のものなのです。逆に企業主導で風車の設置を進めようとしたイギリスでは地元の反 対にあい風車建設が進んでいません。  日本でも市民出資による風車の運動が一部で進められてきました。このあたりは拙 著「コミュニティエネルギーの時代へ」に書きましたので、興味があればお読みくだ さい。  牧丘に風車が立つなら、それは牧丘の人たちにもっとメリットがある形で建設され るべきです。町民が風車の必要性を認識し、エネルギー問題に目覚め、自然エネル ギー比率、エネルギー自給率を高め、果実が自らに返ってくる、それによって地域経 済も潤うような形が必要だと思います。この問題をきっかけにそんな議論を深めるこ とはできませんか?  【風車は観光になるか?】  日本中にこれだけ風車が設置されている現状を考えれば、風車は珍しくも何ともあ りません(お台場からも風車が見える)。そもそも風車は発電し既存エネルギーを置 きかえるために設置するものであって、観光ならオランダ風車でも建てればよい。そ れに発電風車を見に来る人が、地域にお金を落としていくとは考えにくい。彼らはな がめて写真を撮って帰ってしまうでしょう。乙女高原の自然にふれることも、考える こともなく・・・。  【風車による自然破壊】  直接的にはバードストライクがあります。苫前町の例以外にも神奈川三浦ではトビ がブレードに衝突して死んでいる例が報告されています。しかし、北海道では年間相 当数の猛禽が高圧送電線に衝突して死んでいるそうです。ほかにジェット機への衝突 もあります。つまり、バードストライクの原因は、風車以外にもたくさんあり、風車 だけを悪者にすべきではありません。  また、化石エネルギーの燃焼による気候変動が今後どれだけの野生動植物に深刻な 影響を与えるかを考えれば、バードストライクは風力発電をやめる理由にはならない と思います。ただそうは言っても、避けられる被害は避けなければなりません。事前 の調査によって、猛禽の繁殖や採餌に重要な場所、渡りのコースなどは避けるべきで す。また、コウモリの衝突事故(バットストライク)も海外では報告されています。 バードストライクについての報告は以下をごらんください。 http://www.ecoweb-jp.org/genews/no018.html  ほかに見逃されがちなのが、風車設置工事による自然破壊です。2000kW級とな れば、大型トレーラーが通れる取付道路が必要になります。そのために失われるかも しれない自然の価値を考慮すべきでしょう。  ●大阪のHさん●  アメリカのカリフォルニアで大規模な風力発電を見ました。何百機というすごい数 でした。かなりの電力を供給していると思います。でも、アメリカは、広大で牧草地 に建てられていました。余り環境に影響を与えていることは無いでしょう。  日本では、三重の国定公園に5〜6機建てられているところを見学に行きましたが 豊かな自然を壊して建てられていました。やはり山の尾根筋です。  日本とアメリカでは、環境が違いすぎです。ヨーロッパでは、昔から偏西風を利用 して風車を回して粉をひいたりしていた歴史があり、里地の人の暮らしに近いところ にあります。フランスのゲランドの風車も大自然の中にある訳ではありませんでし た。日本で言えば、里地で水車を利用していたように。日本の水車が里地の環境に悪 い影響を与えていたとは考えられません。逆に水の豊かな国の水路を利用していた環 境は、メダカやドジョウを当たり前のように育んできました。  確かに風力発電は、原子力などと違って環境に良いのかもしれないし、ヨーロッパ では、当たり前なのかも知れません。でも日本の場合は、一概に言えないと思いま す。日本は、風でなく水の豊かな国です。だから水車が里地で使われてきたのだと思 います。身近な暮らしの中で、水の豊かな特性を活かして水車を利用してきました。 環境に害があるどころか里山の景観やメダカなどのすむ環境を維持してきたと思いま す。  ケナフだ、風力発電だと外国の歴史や自然にマッチしていても日本の歴史や人と自 然のかかわり、自然とマッチするかどうかわかりません。ヨーロッパでは、里の暮ら しの中に風車があっても日本では大自然を壊して山の中に作るというのは明らかに違 います。  日本らしい水車の発電があったらどれだけ里の景観や水路の自然がよみがえるか。 ダムの要らない水力という自然エネルギーの開発が待たれます。 風力発電を検討する前に本当の日本の環境に合った取り組みはなのかを考えてみるこ とも大事だと思います。  ●山梨のMさん●  風力発電のことですが,騒音が問題であることが知られているようですね。たとえ ば以下のページにも,問題点の第一として挙げられています。 http://news.kids.yahoo.co.jp/20040319-00000000-kyodo_kids-kids.html  観光資源という点からいっても,「静けさ」や自然の音風景はとても重要だと私は 思います。自然のゆたかなところにせっかく来ても,自動車などの機械音や,スピー カーで鳴らされる音楽など,人工の音が大きく聞こえるようでは,魅力は半減でしょ う。  風力発電の設置をするかどうかを決める上では,それが地域の音の風景をどのよう に変化させるか,というアセスメントが必要だと思います。(音環境についてのアセ スメントは手法が十分に開発されておらず,騒音レベルが基準内かどうかだけが問題 にされる場合がほとんどです。研究上,私が関心を持っているテーマの一つです。)  取り急ぎ,音環境の面からコメントさせていただきました。 -------------------------------------------   【乙女高原ファンクラブ事務局】 植原 彰(方) 〒404-0013 牧丘町窪平1110-3 電話とファックス 0553(35)3682 ご意見/ご感想/情報はこちらに・・・  mailto:xxxxxx@j-gate.net バックナンバーをご覧になりたかったら・・・・  http://www.otomekougen.npo-jp.net/mail_mag/ 乙女高原.ファンクラブのホームページは・・・・・  http://www.otomekougen.npo-jp.net/ 「ウエちゃんの乙女高原自然観察記」は・・・  http://www.otomekougen.npo-jp.net/observ/observ_top.htm ※この号は,399人にBCCでお送りしています。「乙女高原メールマガジン」は 希望する方に無料で配信しています。まわりにご希望の方がいらっしゃいましたら, アドレスとお名前を「返信」してくだされば,メール配信のリストに加えます。  お互いに顔の見えるような関係の中でメール配信したいので,あえて自動配信の メールマガジン用ホームページ等は利用しておりません。  なお,ウイルスが心配ですので毎週ウイルスソフトのアップデートを行っていま す。 以上。