□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□    乙女高原ファンクラブ 公認  乙女高原メールマガジン 第109号 2004.7.2. 発行者:植原 彰 (乙女高原のある町・牧丘町在住) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・   ▲▼ も く じ ▼▲ NEW! 0.【ニュースニュース】 NEW! 1.【活動報告】 マルハナバチ調べ隊04 1回目…6月27日 NEW! 2.新シリーズ【乙女な生き物】 その1        ヒョウモンエダシャクは毒虫だった! 植原 彰 NEW! 4.【参加者募集】 夏の自然観察会・・1回目は7月25日 ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■   0.【ニュースニュース】 ●@乙女高原では,いよいよ夏の主役たちが咲き始めました。ノアザミ,キンバイソ ウ,ヤマオダマキの花はもう確認しています。繰り返しになりますが,くれぐれも乙 女高原へは杣口林道(杣口−柳平)を経由して来てくださいね。焼山林道(塩平−焼山 峠)は工事中で通れません。工期は8月10日までです。 ●A今年の「マルハナバチ調べ隊」第1回目が6月27日に行われました。28名もの参 加者があり,本邦初公開のマルハナバチの紙芝居を楽しんだり,アヤメの花にもぐり こんで蜜を吸うトラちゃん(トラマルハナバチ)の姿をじっくり観察したりしました (→1.) ●B乙女高原ファンクラブの次回世話人会は,7月7日(水)午後7時半から,牧丘 町総合会館です。ファンクラブ会員であれば,どなたでも参加できます。どうぞ,お いでください。 ------------------------‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐     1.【活動報告】  ●マルハナバチ調べ隊04 1回目…6月27日●  まずは,この会に参加された第2期案内人のWさんのメールを紹介しましょう。 ●マルハナバチこそは乙女のインタ−プリタ−なんだ(W)  第2期案内人の講座を終了して初めての活動参加がマルハナバチ調査でした。マル ハナバチのことは何も知らず、とにかく参加する事に意義がある(?)と思って乙女 に向かいました。  植原さんのレクチャ−は素晴らしいものでした。マルハナバチの1年をみせてくれ た手造りの紙芝居。キバナノアキギリのシ−ソ−のような仕組みの模型。種類別のシ −ル。・・・。そしてなによりミ−チャン、トラチャン、オ−チャン、ナ−ちゃんと いう愛嬌のあるネ−ミング。マルハナバチが一気に近づいてきてくれました  あとはもう 高原に出てミ−チャン、トラチャンを探すことに夢中になりました。  もうすごい。なにも分からず行ったのに、気がついたら調査のお手伝いができてい る・・感心してしまいました。  そして、納得しました。案内人のワッペンの絵柄がどうしてマルハナバチなのか。 そうそう、マルハナバチこそは乙女のインタ−プリタ−なんだと・・・。マルハナバ チを観ることでたくさんのことに気づくんだと・・。  Wさんがお気づきの通り,ぼくが用意した紙芝居も模型もシールも,そして,マル ハナバチのネーミングさえも,「マルハナバチを通して乙女高原の自然を理解しても らうインタープリテーション」の一部です。そこにちゃんと目がいっているとは,さ すがに乙女高原案内人!と思いました。  が,一番感心したのは,以下のこのフレーズです。  「マルハナバチこそは乙女のインタ−プリタ−なんだと・・・。マルハナバチを観 ることでたくさんのことに気づくんだと・・。」  正直言いまして,ぼくには「マルハナバチがインタープリター」という発想はあり ませんでした。でも,よくよく考えてみると,ぼくらがマルハナバチをしっかり観察 することで,マルハナバチが乙女高原の自然を教えてくれている(=インタープリ テーションしてくれている)んですよね! この発想,すごい! この発想,ステキ !・・・と思ったので,この項の冒頭で紹介させていただきました。  さて,今年第一回目のマルハナバチ調べ隊,天気にも恵まれ,東京から国武さん (東京大学大学院で博士号を目指して論文の仕上げをがんばり中!乙女高原でマルハ ナバチとオオバギボウシの関係を調査。ぼくらをマルハナバチファンにした張本人) もかけつけてくださり,とっても楽しい会になりました。  今日の会の主旨,日程の説明,全員の自己紹介のあと,ロッジの中で「マルハナバ チのお話」コーナーを始めました。ここでは,ぼくが1週間ほど夜なべ仕事をしてよ うやく仕上げたマルハナバチの紙芝居を見ていただきました。  きわめつけは最後に出したキバナアキギリの花の紙芝居です。この花,おしべが 「てこ」になっていて,花にとまったマルハナバチが花の入り口にあるおしべの一部 を押さないと中には入れないようになっています。ハチがこの部分を押すと,「て こ」の原理で,おしべの反対側が下がってきて,この先についている葯という部分が ハチのおしりにまるでスタンプをするように,ペタンと付きます。葯というのは花粉 袋で,ペタンのとたんに,ハチの体に花粉が確実につけられるという寸法です。  乙女周辺ではキバナアキギリが花のサイズも大きく,観察しやすいのですが,サル ビアの仲間はすべてこのような花のつくりになっているので,ぜひ,お庭で観察して みてください。  その後,「乙女にいるマルハナバチを見分けよう!」と,配ったワークシートにマ ルハナバチのシールを貼ってもらう作業をしました。  午前中は,もうひとつ,「実際にマルハナバチを見てみよう!」というコーナーも 行いました。実際に草原の中を歩いて,マルハナバチを見つけたら,みんなで観察し ようというものです。どうしても隊列が長くなってしまうので,途中途中に昨年のマ ルハナバチ調べ隊員に入っていただきました。  子どもたちがマルハナバチを捕まえて,容器の中でじっくり見ることに夢中になり そうだったのが,ちょっと気になりました。というのも,観察してもらいたいこと, 感じてもらいたいこと,つまり,ぼくがこのような催しをするときに一番大切にして いることって,採ってしまうと見えなくなってしまうんですよね。  大変だけど,生き物たちが自然の中で自然に生活している様子こそを見せたいと 思っています。ま,だからこそ,見せ方を工夫するインタープリターとしての技術や 技能が観察会の質を左右するんですけどね。  ここでの一番のニュースはミヤママルハナバチの巣穴が見つかったことです。何気 なく見ていたら,ぼくの目の前で,地面(草がいっぱい茂っていて,見にくかったで すが)の穴の中に消えていきました。国武さんと「秋になったら,掘り返してみよう ね」と話をしています。  昼食後,「マルハナバチ調査をやってみよう!」のコーナーをしました。ぼくが用 意したのはラインセンサス法といって,歩きながら,見られたマルハナバチの種類と 行動を記録するというものだったのですが,国武さんと相談し,もう1つの調査を付 け加えることにしました。それは待ち伏せ調査で,自分で決めた花の前で一定時間ひ たすらマルハナバチを待ち,来たマルハナバチの行動を記録するというものです。  どちらの調査も一長一短です。ラインセンサス法は,草原の中を歩き回り,いろい ろなマルハナバチに出会う確率は高いのですが,ハチが来ている花の名前もわからな いと正確な記録にはなりませんし,この調査方法自体がマルハナバチの調査方法とし ては一般的ではありません。  一方,待ち伏せ調査は「保全生態学研究」という学会誌で取り上げられている「マ ルハナバチ一斉調査」の方法に準じたものです。ですか,一箇所でジッと待っていな くてはならないので,ある意味退屈です(やってみると,結構ハチが飛んでくるの で,1時間ジッとしてても,全然飽きないんですけどね)。  参加した皆さんに希望の調査方法とラインセンサス法についてはルートを決めても らい,スタッフが案内しながら,調査を終えました。  マルハナバチのファンがどんどん増えて,マルハナバチを通して乙女の自然をより 深く理解してくださる方が多くなることを祈っています。 -------------------------------------------    2.【乙女な生き物】 ●ヒョウモンエダシャクは毒虫だった! 植原 彰●    6月28日の山梨日日新聞に,甘利山のヒョウモンエダシャク退治の話が大きく載っ て いました。簡単に言うと,甘利山のレンゲツツジの葉がヒョウモンエダシャクという 尺取虫の大発生で食害を受けているので,観光客にも割り箸とビニール袋を配って駆 除に一役買ってもらっているというものです。  退治に参加する人が少数だったとしても,このように新聞で大きく取り上げられる こ とで,社会に向けて大きく情報発信することができます。そういった意味で,成功し ていると思います。(乙女にはなかなかマスコミが来てくれないんだよね・・・)  さて,乙女高原でもヒョウモンエダシャクが大量発生しています。尺取虫の姿がい たるところで見られますし,もうすこしたつと,きれいな成虫の姿も見られるように なります。ぼくは,このヒョウモンエダシャクの大量発生について,以前から気に なっていました。気になる点は大きく3つです。 ●1.幼虫(いもむし)のサイズといい,毛が生えていない点といい,野鳥たちが雛 のえさにするのにうってつけだと思うのに,なぜ,いっぱいいるのか? 野鳥たちは この幼虫を取っていないのか? ●2.成虫だって,野鳥たちが好んで食べそうなものだが,そんな気配は感じられな い。第一,夜ではなく,野鳥たちの活動時間帯である昼間,飛んでいるのをよく見か け る。野鳥たちはこの成虫を食べないのか? ●3.ヒョウ柄の成虫は目立ちすぎている。また,幼虫もけっこうハデな色の組み合 わ せだ。これはもしかして,警戒色ではないか?  ヒョウモンエダシャクをインターネットで検索して調べたところ,おもしろい記述 に出会いました。 ●「生物たちの不思議な物語」(深海浩著:化学同人)という本をめくっていると、 植物の毒で身をまもる生物の例として、この虫のことが詳しく書いてありました。虫 の名前はヒョウモンエダシャク。豹のような班点がある尺取虫ということでしょう。 彼(彼女)はアセビが持つ毒、グラヤノイドを分解して毒から逃れているのではなく て、それを体内に蓄積し、さらに成虫まで持ち越して小鳥などの捕食から身を守って いるのだといいます。アセビの花を眺めながら生物の不思議さをつくづく思いまし た。  カバマダラという蝶がやっぱり幼虫時代に毒草を食べ,その毒を体内に蓄積し,自 分の身を守っていることは有名ですが,ヒョウモンエダシャクもやはりそうだったの でした。ちなみにレンゲツツジにも有毒成分がありますし,基本的にアセビと同じ成 分だそうです。  ぼくの思ったとおり,ヒョウモンエダシャクはレンゲツツジの毒に守られ,ほかの いもむしのように野鳥たちから食べられることを免れていたというわけです。であれ ば,幼虫や成虫の派手派手ルックも説明がつきますし(警戒色。「私には毒がある ヨ」というメッセージ),昼間,成虫の蛾が堂々と飛んでいることも理解できます (むしろ,夜だったら,色によるメッセージが天敵に伝えられないので,食べられて しまうと思います) ・・・・とはいえ,いくらヒョウモンエダシャクが毒を持っているからといって,生 態系の中で一人勝ちはありえないはずです。なにかこの虫の大発生を抑えている要因 が甘利山や乙女高原にあったはずです。それはいったい何なのでしょうか? あるい は,今はもうその「要因」がなくなってしまったから,乙女や甘利山で大量発生と なったのでしょうか?   要因がなんなのか,その要因がなくなった(あるいは,その影響が弱くなった)の はなぜか?・・・ぼくは知りたいと思います。  もちろん対症療法的にイモムシを捕まえることも大切でしょうが,根本原因を抑え なければ,乙女や甘利山(の自然)は健康にはなりません。  この芋虫が大発生していることを「原因」と考えている限り,自然は何も教えてく れません。この芋虫の大発生は「結果」なのです。「原因」は何でしょう? -------------------------------------------   3.【参加者募集】  ●夏の自然観察会・・1回目は7月25日●   標高1700メートルの夏を満喫!・・・乙女高原自然観察会 〜乙女高原案内人が「乙女高原のとっておき」をご案内します〜 ●日時 パート1 7月25日(日)       パート2 8月29日(日)  (少雨決行)  午前10時から午後3時(受け付けは9時半から) ●集合場所 乙女高原グリーンロッジ前 (電話0553−35−3866) ●定員 30名(先着順) ●参加費 どなたでも100円(保険料) ●持ち物など 筆記用具,弁当,飲み物,雨具,帽子,動きやすい服装。(あれば ・・・)虫眼鏡,双眼鏡などの観察用具,ポケット図鑑など。 ■申し込みの際には,パート1に参加するのかパート2なのかをはっきりおっしゃっ てください。 ■問い合わせ・申し込みは・・・乙女高原ファンクラブ事務局 -------------------------------------------   【乙女高原ファンクラブ事務局】 植原 彰(方) 〒404-0013 牧丘町窪平1110-3       電話とファックス 0553(35)3682 ご意見/ご感想/情報はこちらに・・・  mailto:xxxxxx@j-gate.net バックナンバーをご覧になりたかったら・・・・  http://www.otomekougen.npo-jp.net/mail_mag/ 乙女高原.ファンクラブのホームページは・・・・・  http://www.otomekougen.npo-jp.net/ 「ウエちゃんの乙女高原自然観察記」は・・・  http://www.otomekougen.npo-jp.net/observ/observ_top.htm ※この号は,412人にBCCでお送りしています。「乙女高原メールマガジン」は 希望する方に無料で配信しています。まわりにご希望の方がいらっしゃいましたら, アドレスとお名前を「返信」してくだされば,メール配信のリストに加えます。  お互いに顔の見えるような関係の中でメール配信したいので,あえて自動配信の メールマガジン用ホームページ等は利用しておりません。  なお,ウイルスが心配ですので週に最低1回はウイルスソフトのアップデートを 行っています。 以上。