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 乙女高原メールマガジン 第022号 2001. 6.23.

発行者:植原 彰 (乙女高原のある町・牧丘町在住)

      Eメールアドレス  xxxxxx@j-gate.net

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   (((植原からのメッセージ)))

 塩平(しおだいら)から焼山林道を4キロほど入った左手に,地元の人たちが
『お公家さんのお墓』と呼んでいる石碑があります(石碑からちょっと進むと,
乙女高原自然観察路の入り口です)。なぜ,『お公家さん・・・』と言うかというと,
石碑の上部に菊の紋章が彫られているからです。

 このたび, 牧丘町教育委員会(文化財等の担当)の大崎文裕さんから,
この『お公家さんのお墓』に関するたいへん興味深いお話をお聞きしました。

 本人のご快諾をいただき,ここに紹介します。(なお,私信の部分をカットしたり,
往復書簡のようにしたりと,だいぶ編集しました)

 

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 『お公家さんのお墓』は木地師の墓!?

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(大崎)『お公家さんの墓』について,今までは,菊の御紋が付いていて,年号が江戸期の
天保年間のものが刻まれているとしか分かりませんでしたが、最近ひょんなことから
大胆な仮説がたてられたのでとりあえず報告しておきます。

 

 私の仮説は、これは「木地師」(きじし)の墓ではないかということです。
木地師というのは、轆轤(ろくろ)を使って木地を専門に作っていた専門集団のことです。

 木地師たちはサワラやトチなどの木製品の材料などを求め、山の中を転々とし、
あまり他の集落とも交流を持たなかったそうです。
このため、全国の山中には,
木地師の墓と称するものが沢山あるそうです。 さらに長野県の南木曾町には、木地師の一族である
小椋、大蔵姓が残り、墓石には,『お公家さんのお墓』と同じ菊の御紋が付いているそうです。
山梨県近辺では奥秩父に木地師が沢山いたみたいですし、クリスタルライン周辺には天然のサワラ林や
栃の木が沢山あったことから「木地師」の集落があっても不思議では無いように思えます。

 ただ、「木地師」の集団は他の集落との交流を避けているため伝承が残りにくく確証は、もてませんが・・・

 

(植原)皆さんは『木地師』なるものの存在をご存じでしたか? ぼくは知らなかったので,
とても興味を覚えました。大崎さんの文中に「他の集落と交流を持たなかった」とありますが,
なぜ彼らは交流を避けていたのでしょうか?

 食料生産をしていたわけではなさそうですので、製品を売るとか物々交換をするとかしなければなりません。
当然、ふもとの集落との交流が必要になると思うのですが・・・

 もしかして、いわゆる「部落」問題の一つなのでしょうか?

 

(大崎)彼らは当時の特殊技術であった轆轤(ろくろ)を使用していました。ですから,
その技術を盗まれるのを恐れたため、他の集落と交流をしなかったようです。
製品などを売るために少しは他の集落と交流もあったようですが,多くは物々交換であったらしいです。

 全国に残る『貸し椀伝説(人里離れたお地蔵さんや池や沼のほとりにお供え物をしてお椀やお盆を
貸してくださいと言って次の日にはその物が置いてあるというものです)』も木地師と集落の交流の一部であったようです。

 たしかに木地師の身分は軽んじられていたところではありますが、被差別民というわけではなっかたようです。

 

 今日も1日木地師についての勉強をしていましたが、また一つ成果がありました。

木地師の多くは大蔵(おおくら)、小椋(おぐら)の姓を名乗っているわけですが、
九州の大分県には藤原姓を名乗っている木地師があり、さらにそのお墓には菊の御紋が付いているそうです。

 これらのことを総合すると,塩平集落そのものが木地師の定住した集落ではないかと思えてなりません。
塩平には落人伝説がありますが,『木地師(きじし)』が『貴人(きじん)』と,時代の流れで伝わったのでは
ないかと思えます。(塩平の方には申し訳ないのですが)

 

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 次回の乙女高原ファンクラブの事業は・・・

   8月5日(日) 乙女高原自然講座

           『夏のお花たち』

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○8月5日(日)9:30−12:00(小雨決行)

○乙女高原グリーンロッジ前集合

○参加費 100円

○持ち物 帽子,筆記用具,(あれば)虫めがね,植物の図鑑など

○内 容・乙女高原でお花が一番多く咲く季節です。

    ・避暑も兼ねて,乙女高原の美しい花々を観察しましょう。

    ・時間があれば,ブナの森まで足をのばそうと思います。

・連絡先・申し込み先 乙女高原ファンクラブ事務局(牧丘町役場内)

     0553−35−3111(代)

     otome@town.makioka.yamanashi.jp

    (このまま,ぼくに返信してくださっても結構です)

    (県外から来られる方などで,前泊・後泊を希望される方も事務局までお問い合わせください)

 

※『乙女高原ファンクラブ』の,この次の事業は・・・

 9月23日(日) 乙女高原自然講座『巣箱をのぞいてみよう』

 9:30−12:00(小雨決行),乙女高原グリーンロッジ前集合

(この号は243人の読者の皆さんにお届けしています)

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