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 乙女高原メールマガジン 第026号 2001. 8.14.

発行者:植原 彰 (乙女高原のある町・牧丘町在住)

      Eメールアドレス  xxxxxx@j-gate.net

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   (((植原からのメッセージ)))

 今回は『イタドリ退治の是非』についてのご意見特集です。

 いろいろな方から,いろいろなご意見をいただきました。ありがとうございました。

 なお,このメルマガの最後に8月21日に行う植生調査についてのお知らせ(急募!)
があります。興味のある方は,そちらから読んでください。

 まずは神奈川県の金成耕太郎さんからいただいた,新聞記事です。外国で猛威を

奮っているイタドリの様子がよくわかります。こんなのが乙女高原で大繁殖したら・・・・

 

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「日本土産の植物イタドリ、欧州で猛威」

朝日新聞東京本社発行2000年8 月31日付朝刊から

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 【ブリュッセル30日】長崎・出島のオランダ商館の医師シーボルトが日本から持ち
帰ったタデ科の植物イタドリが、欧州各地で猛威をふるっている。ブリュッセル市は
市民に駆除を呼びかける冊子を作成。英国では昨年、生態系操作で根絶を目指す

「イタドリ同盟」が結成され、日本でイタドリの天敵を探し出す計画が進んでいる。

 

ブリュッセル市内の空き地にのさばるイタドリの群生。隣の家庭菜園を脅かしている。
日本で食用や薬用にするイタドリは十九世紀半ばに欧州に渡来。当時の園芸業の珍種
ブームにのり、欧州各地で高値で取引された。

 ところが、地下一メートル以上の深さで、地下茎が分かれて広がっていく強い生命力で、
多くの在来種をあっという間に駆逐。今では、川岸や民家の庭、墓地、遺跡などに、
高さ二、三メートルで密生し、「最も有害な帰化植物」のレッテルを張られている。
米国やカナダも対応に苦慮しているという。

 強力な除草剤を繰り返し散布しないと、駆除できないため、自治体のコストは膨大だ。
住宅地での除草剤使用を制限しているブリュッセル市では、市職員が手で抜いているが、
強い繁殖力にお手上げの状態だ。

 

 英国はイタドリを植えたり、茎の残った土を捨てたりすることを法律で禁じている。
このため、イタドリが生えていた土地で工事を行う場合、必要以上に深く土を掘り起こさなければならない。
根絶やしにしないとコンクリートを突き破って生えてくる恐れがあるからだ。

 こうした中、注目を集めているのが、日本にいる天敵を導入する生態系操作だ。英米の研究所や
地方自治体などでつくる「イタドリ同盟」は、イタドリハムシや菌類などの導入を検討している。

 同盟のメンバーである非営利組織「カビ・バイオサイエンス」は今月、英ウェールズ開発庁と
米政府の補助金を受けて、生態系操作の研究をスタートさせた。

 担当のディック・ショウ氏が訪日中で、専門家と情報交換。各地で「蓼(たで)食う虫」の
サンプルを採集して持ち帰る予定だ。

 未知の生物導入を懸念する声もあるため、サンプルは慎重に検査されることになっている。

 

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(植原)以前,草原保全についてご意見をいただいた(メマルガ8号)北海道大学北方生物圏
フィールド科学センターの浪花彰彦さんからも同じようなご意見をいただきました。

 

「イタドリの増殖については、主にイギリスなどで問題になっているようです。イタドリ+
イギリスというキーワードでネット検索してみると、いろんな情報が得られますよ。

 それでも国内ではあんまりイタドリが問題になったという話は聞きませんね。

 有効な対策としては、イタドリの若芽はおいしい山菜なので、5月頃に片っ端から取って
食べてしまうというのが良いのではないかと思います。資源が枯渇する心配はほとんどないので、
楽しみながら植生管理が出来て、一石二鳥ですよ。

 もしかしたら、欧米人はイタドリを山菜として食べる習慣がないために、あんなに

もイタドリの増殖に悩んでいるのかもしれませんね。」

 

・・・と具体的な管理方法もご提案,いただきました。

 さて,次は埼玉県の内田 健さんのご意見です。

 

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 フィードバック管理がいいのでは?
       内田 健
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 きちんと調べたわけではないのですが、私のこれまでの観察の経験などをもとに感想を
述べたいと思います。

 まず,「イタドリが増えているということは草原が富栄養化の傾向を示してという

ことか?」という件について。

 イタドリは火山の溶岩がごろごろしているようなところにも真っ先に侵入してくる

ことからもわかるように、どちらかというと、貧栄養、乾燥に耐えられる植物です。

 乙女高原の場合は、それほど貧栄養でもないようなので、乾燥や土壌の流出(攪乱)などが、
イタドリが多く侵入する要因ではないでしょうか。ですから、イタドリに問題があるというよりも、
人の立ち入りなどにより土壌が不安定になり、また、雨が降ると道にそって雨水が流出し、
土壌が浸食されたり、土壌の保水力が小さいために乾燥してしまうなどのことが、
本当に改善しなければならないことだと思います。

 

 ただ、イタドリと競争関係にある植物が淘汰されるのは事実でしょうから、減っている植物は、
積極的に保護していく必要はあると思います。

 基本的には、人間活動によって環境にストレスがかかる分だけ、人間が関わって保護していく
ということでしょう。

 

 と書くと簡単ですが、実際にどうしたらよいかは大変むずかしいので、いわゆるフィードバック管理
(結果を見ながらより適当な管理を考えて行っていく方法)をしていくしかないのではないでしょうか。

 イタドリに関しては乙女高原をいくつかのブロックにわけ、そのままにしておくところ、
積極的に排除していくところなどを作ったらどうでしょうか。

 

 以上、まったくの思いつきで書いてしまいましたが、尾瀬などに比べれば、利害関係なども
少なそうなので?、植物生態の専門家などに相談して、いろいろやってみるのがよいのではないでしょうか。

 

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(植原)確かに岩がゴツゴツしているようなところにもイタドリは生えています。

「富栄養化というより乾燥と攪乱」という内田さんのご意見,ごもっともだと思いました。

 あと,何人かのご意見をご紹介したいのですが,それだとメールが重くなってしまいますので,
今回はここまでにします。

 

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 急募!!

  8月21日(火) 乙女高原の植生調査
       (体験)参加者募集!!
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 このメルマガがきっかけで,草原植生の研究者である林 佳貴さんと知り合いになることが
できました。林さんは,千葉大学大学院の出身で,乙女高原と同じような亜高山性の草原である
霧ヶ峰の植生調査や火入れが草原に与える影響を調べております。同じような標高ですが,
霧ヶ峰では「火入れ」という管理方法が取られ,乙女では「草刈り」という霧ヶ峰とは違った
管理方法が取られているところに興味を持ち,「植生調査をしてみましょう」ということになりました。

 『植生調査』とは,いってみれば,乙女高原に生えている全ての植物を調べて,乙女の植物の住民基本台帳を
作ろうというものです。

 林さんはすでに数回、乙女を訪れ,植生調査を行っています。

 

 今回は林さんのご好意で,「植生調査に同行してもいいよ」と言っていただけました。 
都合がつく方は,ご参加ください。

 ただし,人数がやたら多くなってしまっても大変ですので,参加を希望される方は,
植原までメールを送ってください。折り返し,集合場所や集合時刻をお知らせします。

 先着順とします。あまりにも人数が多くなってしまったら,お断りしますが,ご了承ください。

 

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  9月23日(日) 乙女高原自然講座
        『巣箱をのぞいてみよう』
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○9月23日(日)9:30−12:00(小雨決行)

○乙女高原グリーンロッジ前集合

○参加費 100円

○持ち物 帽子,筆記用具,(あれば)虫めがねなど

○内 容・乙女高原のまわりの森にはたくさんの巣箱が架けっぱなし。

    ・中には壊れかけているものもあります。

    ・それらをはずしながら,中を見てみようという観察会です。

・連絡先・申し込み先 乙女高原ファンクラブ事務局(牧丘町役場内)

     0553−35−3111(代)

     otome@town.makioka.yamanashi.jp

    (このまま,ぼくに返信してくださっても結構です)

    (県外から来られる方などで,前泊・後泊を希望される方も事務局まで

     お問い合わせください)

※この号は252人の読者の皆さんにお届けしています

※バックナンバーが欲しい方は,ご一報ください。無料でお送りします。

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