乙女高原メールマガジン 第027号 2001. 8.16.
発行者:植原 彰 (乙女高原のある町・牧丘町在住)
Eメールアドレス xxxxxx@j-gate.net
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(((植原からのメッセージ)))
『イタドリ退治の是非』についてのご意見特集パート2です。
じつは,前回紹介した内田さんのご意見の中にあった『フィードバック管理』というのを読んで「これだ!」と思い,スタッフで検討し,実験的に『イタドリ退治』をしてみました。1教室分くらいの範囲(10m×10m)内でイタドリだけ選択的に刈ってみたのです。刈りながら観察すると,イタドリ群落の境界に近いところではイタドリの下に他の草が結構生えていましたが,群落の中央部になると,草がだいぶ少なくなりました。
刈っている途中で,地上10センチほどのイタドリの茎にウグイスの巣を発見してしまいました。「イタドリのやぶが増えて,喜んでいる生き物もいるんだなあ」と思いました。中に赤い卵が5個見えます。急遽,その箇所のイタドリ刈りは中止しました。
今後,刈った部分がどうなっていくか,刈らなかったところがどうなっていくかを
見つめていかなくてはなりません。
では,『イタドリ退治』に対する東京のSさんのご意見です。
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乙女高原の草刈りがイタドリを増やしている!?
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イタドリに関しまして私の今までの経験からもうしますと、鉄道線路脇や高速道路
の敷地内など、定期的に草刈りをする場所で発生が多いように思います。また、イタドリは、除草剤で防除することが大変難しく、草刈りと除草剤を併用し、さらに割合と管理頻度の多い雑草地に多く見られます。しかし、イタドリを衰退させるには、除草剤を使用する(使用方法にもよりますが)のが手間も暇もかからないのですが・・・。
■「最近、イタドリが急激に増えていて,面積も年々広くなっている」について
イタドリのような多年生雑草は、地上部を刈り取ると、栄養繁殖体(イタドリの場合は根部)に多数存在する不定芽が活性化され、それが地下茎に分化した場合に生息範囲を拡大させます。そのため、草刈りの時期や回数によって拡大のスピードが変わる可能性があります。詳しくは後述します。
■「イタドリをどう管理したらいいのか?」について
「保全する」といっても、所詮は人間のために人間が行うわけですから、主観は人間で、人間によって大自然に作用をして「人間のために保全したい」環境を作るわけです。人間によってすべての自然の事象をコントロールできるわけではありませんので、イタドリが増えたことも、大自然に対して「人間主観の保全」という作用を与えた反作用と私は考えます。
ボランティアの草刈りというイベントを重視し、時期を固定するならば「イタドリ草原」になっても仕方ないとおもいます。特定草種の増加をある程度くい止めるために毎年草刈りの時期を変えるとすると、今度はボランティアの方への説明するのに苦労されるでしょう。草刈りの時期を毎年変えるだけではクズのように増加・蔓延を押さえきれない草種もありますので、その辺もご留意下さい。
■「刈ったイタドリは放置か持ち出しか」について
基本的には刈り取ったあと放置してもかまいませんが、ただ、花がついたあとは種子が落ちますので持ち出した方がよいでしょう。
■「イタドリが増えているは何を意味するのか?」について
土壌の条件とかよりも、現行の管理体型がイタドリの生育に好適な条件であるというのが一番ではないでしょうか。すなわち、地下部の貯蔵養分の多いときに地上部を刈り取っているのではないでしょうか?
一般的には、多年生雑草を草刈りで衰退させる場合には、その雑草の地下部の貯蔵養分の一番少ない時期に集中して草刈りを行います。効果が出るまでには5 年とか10年とかの長い期間が必要です。地下部の貯蔵養分の多少を調べるには地下部を掘り取って、分析できる施設(近くの大学の農学部など)に持ち込むのが良いかと思います。
■乙女高原のイタドリを退治についての意見
人間本意で管理目標を決めているわけですから、自然のあるがままにする必要はありません。自分たちの管理目標をしっかり定めて、変な意見にも動じないようにがんばってください。
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(植原)「草原の草刈り自体がイタドリを増やした原因ではないか?」というたいへん示唆に富むご意見をいただきました。考えてみると,葉を広げてさんざん光合成を行い,花を咲かせ,たねをいっぱい作った後の草刈りなんですから,イタドリにとってはとってもありがたい草刈りですよね。
その他にも,イタドリをこんなふうに利用しているというような情報もいくつかいただきましたのでご紹介します。
前回ご紹介した神奈川の金成さんからは・・・
イタドリの茎の中にはコメツガという蛾の一種の幼虫が住んでいることがあります。これを俗称「イタドリ虫」なんていうんですね。イタドリ虫はイタドリの茎(中空)に巣を作って入っています。どのイタドリの茎にも入っているわけではありませんが、茎に小さな穴が空いていて、そこに虫糞が付いているので分かります。この幼虫は、イタドリの他にもトウキビの茎にも巣喰うそうですが同じ種類のようです。
イタドリも種類によってはひとの背丈以上にも大きくなりますがそんな大きく育ったものにはほとんど入っていないのです。
さて、この幼虫に注目しているのが渓流釣師です。この幼虫「イタドリ虫」はヤマメ、岩魚の絶好のえさになるのだそうです。採取の絶好期は10〜11月ごろだそうです。
・・・というお話をいただきました。乙女高原ファンクラブのDさんからは・・・
以前に何かの図書で、イタドリの根を煎じて飲むと、湿性肋膜炎の肺に溜まった水が取れるとあったようです。利尿剤にも良いとありました。医学的のことはわかりませんが。日陰で萎れたものはちり紙の代用になるとも。戦時中か戦後のことかもしれませんが。
余談です。
・・・という情報をいただきました。
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急募!!
8月21日(火) 乙女高原の植生調査
(体験)参加者募集!!
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このメルマガがきっかけで,草原植生の研究者である林 佳貴さんと知り合いになることができました。林さんは,千葉大学大学院の出身で,乙女高原と同じような亜高山性の草原である霧ヶ峰の植生調査や火入れが草原に与える影響を調べております。同じような標高ですが,霧ヶ峰では「火入れ」という管理方法が取られ,乙女では「草刈り」という霧ヶ峰とは違った管理方法が取られているところに興味を持ち,「植生調査をしてみましょう」ということになりました。
『植生調査』とは,いってみれば,乙女高原に生えている全ての植物を調べて,乙女の植物の住民基本台帳を作ろうというものです。
林さんはすでに数回、乙女を訪れ,植生調査を行っています。
今回は林さんのご好意で,「植生調査に同行してもいいよ」と言っていただけました。
都合がつく方は,ご参加ください。
ただし,人数がやたら多くなってしまっても大変ですので,参加を希望される方は,植原までメールを送ってください。折り返し,集合場所や集合時刻をお知らせします。
先着順とします。あまりにも人数が多くなってしまったら,お断りしますが,ご了承ください。
なお,植原は今日から京都に出かけ,帰ってくるのは19日の深夜です。返信は20日(調査前日)になってしまいますが,ご了承ください。
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9月23日(日) 乙女高原自然講座
『巣箱をのぞいてみよう』
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○9月23日(日)9:30−12:00(小雨決行)
○乙女高原グリーンロッジ前集合
○参加費 100円
○持ち物 帽子,筆記用具,(あれば)虫めがねなど
○内 容・乙女高原のまわりの森にはたくさんの巣箱が架けっぱなし。
・中には壊れかけているものもあります。
・それらをはずしながら,中を見てみようという観察会です。
・連絡先・申し込み先 乙女高原ファンクラブ事務局(牧丘町役場内)
0553−35−3111(代)
otome@town.makioka.yamanashi.jp
(このまま,ぼくに返信してくださっても結構です)
(県外から来られる方などで,前泊・後泊を希望される方も事務局まで
お問い合わせください)
※この号は252人の読者の皆さんにお届けしています
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