■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
乙女高原メールマガジン 第028号 2001. 9. 2.
発行者:植原 彰 (乙女高原のある町・牧丘町在住)
Eメールアドレス xxxxxx@j-gate.net
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
(((もくじ)))
1.イタドリ退治したら,メマツヨイグサが増えちゃった!
2.『乙女高原植物誌』を作ります。
3.巣箱をかけることは,本当に鳥のためになっているか?
(乙女高原自然講座『巣箱をのぞいてみよう』の案内)
※このメールマガジンは今のところ,まったくの『手動』で(メルマガ配信サイトは
利用せずに),ご希望の方に無料で配信しています。ご希望の方がありましたら,植
原までメールアドレスとお名前を,電子メールにて送ってくださいますよう,お話く
ださい。
========================
イタドリ退治したら,メマツヨイグサが増えちゃった!
========================
前号のメルマガで「1教室分くらいの範囲(10m×10m)内でイタドリだけ選
択的に刈り,実験的に『イタドリ退治』をしてみた」ことを書きました。
そのモニタリング調査を1ケ月後に行いました。
まず,気になったのが刈り取り途中に見つけたウグイスの巣。卵が5個,そのまま
になっていました。きっと親が放棄してしまったのでしょう。
次に,徹底的にイタドリを刈ってしまった場所ですが,結論から言うと,『イタド
リ退治』をしたところは,『帰化植物であるメマツヨイグサ(アレチマツヨイグサ)
の園』になっていました。
『泣きっつらに蜂』とはまさにこのこと。ウグイスには悪いことしちゃったし,イ
タドリの代わりに台頭したのが帰化植物とは・・・・。『管理型の自然保護』の難し
さを肌で感じました。
もっと長い目で見なければ,『イタドリ退治』に対する評価はできないと思います
が,今回,得られた教訓があるとしたら,「もし,イタドリ退治を実施するにして
も,ある範囲内でイタドリを皆抜するのでなく,少しずつ,つまり,密度を低くする
ような『すき刈り』をしていった方がいいかもしれない」ということです。
========================
『乙女高原植物誌』を作ります
========================
前号のメルマガで,「草原植生の研究者である林 佳貴さんと一緒に植生調査(正
確に言うと植物相調査)をしませんか?」という呼びかけをしました。
今後,何年間か乙女高原で調査をし,その結果をまとめて一冊の報告書(資料集と
言った方がいいかな?)『乙女高原植物誌』を作ることが乙女高原ファンクラブ世話
人会で承認されました。
今後も,乙女高原で植物の調査を行い,その結果をパソコンに入力し,原稿を書い
て,図を描いて・・・というような作業を行っていきます。「植物の調査をしてみた
い」「パソコンへの入力ならボランティアでやるよ」「植物の図を描きたい」・・・
いろいろな参加の仕方があると思います。『乙女高原植物誌』づくりに,あなたも参
加しませんか?
※※※※※※※以下,世話人会の資料より※※※※※※※
◆『植物誌』とは?◆
その地域で見られる植物の全てを網羅した総合資料集です。図鑑と似ていますが,
図鑑が「植物を調べるために」使われることに対し,植物誌はあくまで資料集です。
その地域で見られる全植物のリストがその中心となります。言ってみれば,植物版・
住民基本台帳です。
リスト以外には,検索表(植物をその表のYES−NOに従って調べていけば名前
が分かるというもの),各植物の解説,植物の図版,写真,分布図などが載っていた
り,いなかったり。また,あったとしても,ていねいだったり簡単だったりします。
要するに,予算と人員と年月と情熱と編集意図によって違ってきます。
いったんこの植物誌を作っておけば,乙女高原の重要な基礎データの一つになりま
す。また,今後,乙女高原に確かにあった植物が無くなってしまったり,反対に,今
まで見られなかった植物が見られるようになった場合の証拠・資料になります。
植物誌に続いて鳥版,哺乳類版,昆虫版…と作っていけば,乙女高原にとってかけ
がえのない財産になるでしょう。
◆『乙女高原植物誌』作製の概要◆
○乙女高原での植生等の調査
・調査範囲は,『乙女高原の森』のまなびゾーンと眺望ゾーン
・年6回程度を(4〜5)年間
・調査対象は,シダ植物以上の高等植物(シダ,草本,樹木)
・調査責任者:林 佳貴さん(元千葉大学大学院生・環境計画学環境植物学講座)
・サポートメンバー:( )( )( ) 植原 彰
※調査への協力,調査結果のパソコンへの入力などボランティアでの参加可。
※会報やメールマガジンで呼びかけ,『調査団』を結成することもできると思う。
○『植物誌』の執筆・編集・発行
・発行目標:2006年
・執筆・編集責任者:林 佳貴さん(同)
・監修:(未定)
・印刷・製本 A4版 300ページ程度 オフセット印刷(版下持ち込み)
・何部,発行するか? 必要なところには送付し,残部については販売もしたい
○そ の 他
・林さんの調査者・作成者としてのプライオリティーを確保する
・レッドデータブックとの関連を重視する
(それまでに県版のレッドデータブックができればいいのだが・・・)
・里の植物や帰化植物の侵入状況についてもレポートしたい
・草刈りの際,土壌浸食の進んだ部分に刈った草を入れたわけだが,そのモニタリン
グの結果も載せたらどうか
・草原の管理方法による植生変化の違い等,研究レポートもあわせて載せることがで
きればと思う。
========================
巣箱をかけることは,本当に鳥のためになっているか?
========================
8月26日,乙女高原周辺の巣箱の様子を調べようと,朝,起き抜けで乙女へ向か
いました。草原の中を歩いていると,遠くからトビの鳴き声と猫の鳴き声を足して2
で割ったような声が聞こえてきました。猛禽であるハチクマの声です。そういえば,
乙女高原でマルハナバチとオオバギボウシの研究をしている方から(詳しくは,メマ
ルガ025号),「乙女高原は蜂が多いので,ハチクマもいるんですね」というお話
を伺っていました。
さて,草原周辺の森で探してみたら,23個の巣箱が見つかりました。
鳥は種類によって,いろいろなタイプの巣をいろいろな所に作ります。一番オーソ
ドックスなのはおわん型の巣を木の枝にかけるというものでしょう。お皿のような巣
を石垣のくぼみや地面に作るものもいますし,キツツキのように木に穴をあけるもの
もいます。
これらのようなタイプの巣を作る鳥が巣箱を利用するかというと利用しません。キ
ツツキなんか利用しそうなものですが,彼らは毎年,新たに巣穴を掘っています。つ
まり,新築でないと気が済まないのです。
巣箱を利用する鳥は,木のうろやキツツキがあけた穴を巣として利用している鳥に
限られます。スズメ,カラの仲間(シジュウカラ,コガラ,・・・),ムクドリ,フ
クロウなどです。もちろん,巣箱や穴の大きさによって,利用できる鳥も限られます。
ですから,巣箱をかけることは一部の鳥だけを『ひいき』することになります。
とはいえ,例えば大きな木の少ない都市部などでは,これらの鳥こそが住宅難に
なっているのですから,巣箱を架けることが悪いとも言い切れません。
では,乙女高原のように,大きな木も多い自然林に巣箱を架けることは,どうなの
でしょうか?
巣箱は使っているうちにだんだん壊れてきます。そのまま朽ちてしまうような素材
ばかりだといいのですが,中には巣箱を架けた針金が木に食い込んでいて,見るから
に木が痛そうに見えるものもあります。
また,鳥たちは基本的に毎年あるいは毎回,巣を一から作りますので,巣箱の中に
古い巣が入っていたら,もうその巣箱は使いません。ですから,巣箱を架けたら毎年
秋には中を確かめてきれいに掃除してやる必要があります(中には,「熱湯につけて
消毒するといい」と書いてある本もあります)。 つまり,「架けっぱなしでは迷
惑」なのです。
今回の観察会では,乙女高原周辺の森に架けられている巣箱をはずしながら観察し
ようと考えました。
巣箱の様子,見に来ませんか?
※※※※※※※乙女高原自然講座『巣箱をのぞいてみよう』の案内※※※※※※※
○9月23日(日)9:30−12:00(小雨決行)
○乙女高原グリーンロッジ前集合
○参加費 100円
○持ち物 帽子,筆記用具,(あれば)虫めがねなど
○内 容・乙女高原のまわりの森にはたくさんの巣箱が架けっぱなし。
・中には壊れかけているものもあります。
・それらをはずしながら,中を見てみようという観察会です。
・連絡先・申し込み先 乙女高原ファンクラブ事務局(牧丘町役場内)
0553−35−3111(代)
otome@town.makioka.yamanashi.jp
(このまま,ぼくに返信してくださっても結構です)
(県外から来られる方などで,前泊・後泊を希望される方も事務局までお問い合わせください)
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
※この号は255人の読者の皆さんにお届けしています
※バックナンバーが欲しい方は,ご一報ください。無料でお送りします。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇