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 乙女高原メールマガジン 第030号 2001. 9.23.

発行者:植原 彰 (乙女高原のある町・牧丘町在住)

      Eメールアドレス  xxxxxx@j-gate.net

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   (((もくじ)))

1.林道でホンドリスのロードキルに遭遇!

2.巣箱からヒメネズミがピョコン!  9月23日

  (乙女高原自然講座『巣箱の中を覗いてみよう』)

 

※このメールマガジンはまったくの『手動』で(メルマガ配信サイトは利用せず

に),ご希望の方に無料で配信しています。ご希望の方がありましたら,植原まで

メールアドレスとお名前を,電子メールにて送ってくださいますよう,お話くださ

い。

 

※前号で予告した乙女高原ファンクラブ メーリングリストのお知らせですが,次号

で行います。お楽しみに!

 

※乙女高原ファンクラブの次のイベントは,11月23日の草刈りボランティアで

す。これはクラブにとって年間最大のイベント。勤労感謝の日に勤労します。ぜひご

参加ください。

 

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1.林道でホンドリスのロードキルに遭遇!

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 金曜日(9/21) の夕方から土曜日にかけての冷たい雨(土曜日の富士山の初冠雪の

きれいだったこと!)と当日(9/23・日) の朝の放射冷却(本当に雲が1こもなかっ

た!)によって,自然講座の朝は身震いするほどの寒さでした。つい3日前まで半袖

短パンでいたなんてウソみたいです。

 

 いつものように塩平から焼山林道に入り,1キロほど走ったところで,前方に何か

落ちているのに気づきました。

 「リスだ!」

 すぐに車をバックさせ,広い所に駐車し,現場に。かわいそうに,そこには死んだ

ホンドリスが横たわっていました。赤茶色の夏毛から,そろそろ冬毛への抜け替えの

時期なのでしょうか。幾分,グレーの毛が混じっていました。

 道路中央には血糊が…。車にはねられて,死んでしまったのでしょう(こういうの

を『ロードキル』と言います。野生動物がよく犠牲になります)。

 とりあえず,車の中からカメラを持ってきて,証拠写真を撮りました。それから現

場検証です。道路の右は下り斜面になっていて,途中にオニグルミの木が生えていま

す。ガードレールの近くにたくさんのクルミの実のかけらが落ちています。リスたち

が食べた跡だと思われます。ということは・・・きっと,クルミの実を拾いに左側の

森から出てきて,車にはね飛ばされてしまったのでしょう。

 拾い上げてみたら,グニャッとしていて(死後硬直が起きてない),まだ温かかっ

たです。死体にハエが一匹も来てなかったことからも,おそらく事故が起きてからま

30分も経ってないと思いました。

 自然講座の参加者の皆さんにも見てもらおうと,グリーンロッジに持っていくこと

にしました。

 

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2.巣箱からヒメネズミがピョコン!  9月23日

〜乙女高原自然講座『巣箱の中を覗いてみよう』〜

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 今日の自然講座のテーマは『巣箱』。乙女高原にはかけっぱなしになっている巣箱

がたくさんありますが,そんな巣箱をはずしながら,ついでに観察してしまおうとい

う主旨です。

 ロッジのホールにぼくの家から持ってきたいろいろな鳥の巣(全部で12個)を並

べ,参加者が来るのを待ちました。

 参加者は子ども3人を含む11人。スタッフ4人を含めても15人です。お互いに

コミュニケーションをとりながら行うにはちょうどいい人数です。まずは自己紹介か

ら始めました。

 次に『鳥の巣クイズ』。鳥の絵を実物大にカラーコピーしたカードを用意し,どの

巣がどの鳥のものかを予想するものです。子どもたちを中心にやってもらいました。

用意した巣はハシボソカラス,モズ,ヒヨドリ,キセキレイ,コゲラ,エナガ,ウグ

イス,ホオジロ,そして不明なもの。一つ一つについて説明しました。

 

 そして,核心・巣箱の話。

 「今,皆さんに見ていただいた巣を作る鳥は巣箱を利用しません。木に自然に開い

た穴やキツツキによって開けられた穴を利用するような鳥しか巣箱は使わないので

す。ですから,巣箱をかけるということは,一部の鳥だけひいきするということで

す」

 「一部の鳥だけひいきするとはいえ,たとえば街の中みたいに太い木が少なくなっ

ている地域では,このひいきも意味があるかもしれません。でも,大きな木もたくさ

んある乙女に巣箱というのはどうでしょう・・・」

 「鳥は基本的に子育てごとに巣を新しく作ります。新築でないと気に入らないので

す。ですから,巣箱の中に先シーズンの巣が入っていたら,もうその巣箱は使われま

せん。ですから,毎年,巣箱を点検して,中に巣が入っていたら,それを取り出さな

いと,利用してもらえないのです」

 そんなお話をしてから、鳥の巣観察用紙の説明をしました。この用紙の観察項目に

そって巣箱の観察をし,観察できたことを記入するようになっています。

 

 ここまで話をしたら,ペンチやはしごといった道具を持って,巣箱がかかっている

森へ出発しました。

 2〜4人でチームを作り,チームごとに巣箱の観察をしました。巣箱の高さを測っ

たり,かけられている木の種類を調べたり,巣箱の素材,かけられた年月日,中の様

子などを観察しました。

 

 いろいろと面白い発見がありました。

 巣箱の中にコケが敷かれてあるのは,おそらくカラ類(ヤマガラ? ・・・)が巣

として利用した跡と思われましたが,コケの上にさらに落ち葉がうずたかく積まれて

いた巣箱もありました。また,コケがなく,落ち葉ばかりが満タンに入っているもの

もあります。

 「ヤマネかネズミが使ったのかなあ?」

などと話をしながら,落ち葉をチョンチョンとつついていたら,落ち葉がモゾモゾッ

と動き,次の瞬間,小さなグレーのネズミが飛び出し,一目散に駆け逃げました。な

んだかとても胴長に見えました。そして,それを追いかけるように小さなネズミが出

てきました。毛はもう生えそろっていましたが,まだ目が開いていません。赤ちゃん

だったのです。赤ちゃんはお母さん(?)の後を追って出てきたまではいいのです

が,お母さんがさっさと逃げてしまい,戸惑っています。

 「悪いこと,してしまったなあ」

 赤ちゃんを巣箱の中に戻し,巣箱も元の場所に返しました。

 このネズミは,ヒメネズミという森に住むネズミでした。

 それにしても,今頃,子育てをしていて,冬に間に合うのでしょうか? 巣箱をヤ

マネやヒメネズミが利用していたとしても,この時期だったら,もう子育ては終わっ

ているので大丈夫だろうと考えて,巣箱の観察会をこの日程にしたのですが・・・?

??

 

 ツノハシバミの新しい実が入っていた巣箱が2つありました。ツノハシバミはとて

もおいしい木の実です。きっとネズミが取ってきて,安全な巣箱の中で食べようと

思ったのでしょう。

 

 巣箱をかけっぱなしで,その後のメンテナンスが全然行われておらず,壊れかけて

いたり,中には背板だけ残っているものもありました。また,木に取り付けた際の針

金が木の幹に食い込み,木にとっては迷惑千万な巣箱もありました。そういう様子を

見ると,「(ちゃんと管理されてない)巣箱って自然によくないなあ」と思うのです

が,一方、巣箱の中からネズミの親子が飛び出したり,ネズミの食料が出てきたりす

ると「悪いことばかりではないなあ」と複雑な気持ちになります。でも・・・,やっ

ぱり,基本的には自然の中に人工的なものは似合わないだろうなあと思うのですが・

・・。

・・・これを読まれたあなたはどうお感じになりましたか?

 

 取り外した巣箱を一箇所にまとめ,それぞれのチームごとに発見したことや気づき

を発表してもらって観察会を終了しました。

 じつは,その後の処理がたいへんでした。一つ一つの巣箱を写真に撮り,一部は資

料として保管することにし,残りは分解して,金属の部分と木材の部分に分別し,木

材は飯盒すいさん用の薪としてロッジに残しました。

 

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 乙女高原メールマガジン 第030号 2001. 9.23.

    発行者:植原 彰  (xxxxxx@j-gate.net )

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