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 乙女高原メールマガジン 第4号・・2000.12.14.

発行者:植原 彰 (乙女高原のある町・牧丘町在住)

Eメールアドレス  xxxxxxj-gate.net

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    草 刈 り 論 争
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 1123日に行なわれた草刈りボランティア作業。その際,刈った草は持ち出した方がいいのか,その場に残した方が
いいのか,皆さんからの意見をくださいとメールマガジン第2号で呼びかけたところ,こんな意見が集まりました。

 

 【意見1 持ち出さない方がいいと思う】

 自然や地球に優しい農業に「自然農(しぜんのう)」という考え方があります。奈良県桜井市の川口由一さんは、農業の世界から、大地と対話をすることから、地球規模の環境破壊と開発主義に染まった暮らしを憂い、独学で「自然農」というジャンルを確立しています。「雑草」「虫」を敵とせずー「余分なものはいれない」「必要以上に持ち出さない」という考えです。作物を育てるのに、大地の生命力「緑肥」「土中の微生物」による自然の摂理を全面的に信頼しての農業です。

 今流行の有機農業は「別の場所から有機たい肥」を入れることにより「地力のバランスが壊れる」ともいいます。土を耕すことで「土中の微生物を殺してしまい地力が衰える」ともいいます。自然農はこうした行為を極力避けます。

 さて、牧丘のケースですが,刈り取った草を放置すれば「過栄養状態になる?」もともと、その地にあった成分が草に姿を変えたのですから過分なことは「ない」はずです。

 大地の輪廻からすれば、放置するのが「自然に近い」のです。植物は「必要な物だけ大地から得て育つ」「これまでも育ってきた」のです。

 草刈りそのものは、「ある環境を保持する」=自然の崩壊サイクルに逆らう行為?

 かもしれませんが、できるだけ環境を壊さないように「自然な農」を目指すあり方と似ていないわけではありません。

(山梨県 Aさんより。Aさんはご自分でも自然農を実践しておられます)

 

 【意見2 持ち出した方がいいと思う】

 草刈りボランティアで刈取った草の持ち出しの件ですが、少々気になることがあります。レンゲツツジが咲いていること等考え合わせるとスキー場の前のそこの場所の使われ方が気になるところです。草原は人為的圧力が加わって成り立つ典型的な2次的自然です。そこをよく知っている老人などに昔物語を聞くことをしてはいかがでしょう。文献など当たるのも良いでしょう。

 そこにおっきぱなしでは富栄養化になります。草は基本的に持ち出すのが良いのではと思いますが、その他の条件も考え合わせないとなんとも言えません。

(島根県 Tさんより。Tさんは草原の保全活動に取り組んでおられます)

 

 【意見3 長い目で見ないとなんとも...

 今回いただいた内容に、刈った草の取り扱いのことがあったので,私の若干の経験話をしたいと思います。水田の土手なので、参考になるかどうか。

 私も土手の草刈りを毎年実験的に行っています。

1.草を刈ったままそこに置くと、モグラが多くなり土手に穴があく時もある。

2.種のついた草を刈って違う場所に捨てるとそこに無かった雑草が繁茂する。

3.草刈りの時期によつて翌年度の植生に変化が出る。

4.2月に土手焼きをすると、4月に密に雑草が芽吹く。

5.夏に土手を焼くと来年まで草が生えないがその部分で浸食が起こる。

 今のところ、モグラも生かしたいし、土手からの漏水も起こしたくないし、健康で豊かな植生の土手にするために、年に4回草刈りをし、刈った草を帯状にまとめて土手に置いています。水田の草刈りというのは単に植生だけでなく,作物の害虫益虫発生とも関係しているので、難しいですね。

 やはり5年から10年のサイクルで見守る必要があると思います。

(山梨県 Sさんより。Sさんは日本自然保護協会の自然観察指導員として各地の観察会で活躍されています)

 

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     自然観察路を歩こう!
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 塩平地区から焼山峠に向かって林道を4・ほど進むと,左側にたたみ1畳くらいの案内板が現れます。まわりと同じような焦げ茶色をしているので,目立ちはしませんが...(ぼくは,そこが気に入っています)

 そこが乙女高原へと続く『自然観察路』の入口です。

 クリスタルラインが開通したことで乙女高原に簡単に行けるようになってしまいましたが,この『自然観察路』はなかなか
魅力的な遊歩道/登山道ですし昔から使われてきた道でもあります。ここから1時間10分ほど歩くと乙女高原です。

 『自然観察路』という名前もいいですよね。少なくとも20年前にはすでにこの名前は定着し,牧丘町の教育委員会から自然観察のためのガイドブック(ガリ版刷りのものですが)が発行されていました。

 

 始めの10分ほどは急な登りです。10月に歩いた折りには,途中,リスがまつぼっくりを食べた跡や,うすい緑色をしていてゴマのような種が入っている糞を発見しました。これは明らかにサルナシの実を食べた後の糞です。なんという動物が残した
ものなんだろう? 気分は名探偵です。

 ちょっとした峠を通過しました。ここから20分ほどは左手の沢に沿いながらゆるやかに登っていきます。サルナシやヤマブドウのつるが目につきます。

 落ち葉の上を歩く1・ほどの小さなカエルにも出会いました。全身赤っぽいカエルでした。手の上に移ってもらい,そっと
持ち上げ,しばらくながめていました。今年生まれのカエルでしょうか。

 沢を横切ったところで休憩しました。まるで兄弟のような大きなモミ(?)の木が2本,すっくと立っています。まわりにはコケむした岩がごろごろしていて,シダが輪になって生えています。

 道はもう一度,沢を横切りました。道のわきに,明らかに人間が作ったものとわか

る盛土があります。炭焼き小屋の跡です。道は沢と分かれ,勾配が急になってきました。足元には笹が多くなり,まわりも広葉樹林から植林されたカラマツ林となりました。汗をかきかき登り詰めたところが母母(ぼぼ)峠です。

 峠を下ると,車道と交差しました。休憩してから30分経っていました。さらに10分ほど観察路を歩きました。ほとんど
平らな道です。所々,道なのか川なのかわからない所もあります。大水のため,地面がえぐれてしまった所が目につきます。
そうこうしているうちに,小さな流れを渡り,いよいよ乙女高原の玄関口に着きました。

 

 乙女高原への林道は冬季の閉鎖期間に入っています。が,これをいい機会ととらえて,歩いて乙女へ向かってみませんか?

 

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)))乙女高原ファンクラブ 第4回設立準備会(((
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○日時 2001年1月19日(金) 午後7時半〜9時半

○場所 牧丘町役場

 役場正面玄関からでなく,東側の出入り口からお入りください。

○話し合う内容

 ・ファンクラブの設立総会について

 ・ファンクラブの活動内容について 他

 どうぞ,来てください。当日参加できなくても,メールにご自分の思いやアイデアを託すという方法もあります。準備会
メンバーへのメッセージでもかまいません。ぜひ,メールでお届けください。

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  『乙女高原メールマガジン』とは? (再録)
         植原 彰
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 乙女高原は,わが町・牧丘町にある標高1700メートル・亜高山帯の草原です。

まわりは森なのに,ここだけは約3.4ヘクタールの広さの草原です。初夏のレンゲツツジや夏のお花畑のような景観が有名
です。

 ぼくは,この乙女高原に魅せられ,20年間に渡って通い,自然観察を続けています。今では自分にとってかけがえのない場所になってしまい,乙女高原の自然を守るために自分にできることは何でもやっておきたいと思っています。このメールマガジンも,ぼくにとっては,乙女高原の自然を守るための一つの手段です。

 

 このメールマガジンでは,ぼくの目を通しての季節ごとの乙女高原の様子や,ぼくが知っている範囲での乙女高原に関する様々な取り組みについて紹介します。

 お名前とメールアドレスを教えていただければ,希望者に無料で配信します。また,ご迷惑でしたら,ご一報くだされば,
配信を停止します。できましたら,お友達等にも紹介してください。できるだけ多くの人に乙女高原のことを知ってもらいたいし,乙女高原の自然を守っていくために多くの人からアドバイスをいただきたいと考えています。

 皆さんからのご感想,ご投稿を楽しみに待っています。

 

 (((((バックナンバーのお知らせ)))))
 バックナンバーが欲しい方は,ご一報ください。無料でお送りします。

■創刊準備号 2000.11. 5(「『乙女高原の森』の保全および利用に関する提言」を県に提出,草刈りイベントの案内,雨の乙女高原で草刈りイベントの準備,他)

■創 刊 号 2000.11.23(発行にあたって,速報・草刈りに200人,シカの糞,観察会の案内,他)

■第 2 号 2000.12. 2(乙女高原の冬の観察会は明日だよ, 乙女の明日のために草刈りボランナィアが集結,他)

■第 3 号 2000.12. 6(ウンチにハマった観察会,乙女高原ファンクラブ設立準備会に参画を,他)

 

 乙女高原メールマガジン 第4号・・2000.12.14.

 (この号は135人の読者にお届けしています)