□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■    乙女高原ファンクラブ 公認  乙女高原メールマガジン 第054号 2002.8.26. 発行者:植原 彰 (乙女高原のある町・牧丘町在住) □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 【乙女高原イベントカレンダー】  ■乙女高原ファンクラブ世話人会■ (誰でも参加できます)日時:9月11日 20:00  牧丘町総合会館  ■乙女高原の草原を守る! 草刈りボランティア■ 今から予定を空けておいてくださいね。今年も11月23日(勤労感謝の日に勤労します !)です。 ------------------------‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ 【乙女高原ファンクラブ 活動レポート】   ■乙女高原自然講座■ 乙女高原の人気者・マルハナバチの観察会                       2002年8月25日  マルハナバチって知ってますか? 人里にもいます。皆さんのお庭にも来ているん じゃないかなあ? ミツバチよりひとまわり大きくて,スズメバチほど大きくない, ずんぐりむっくりしていて,体の割に羽が小さく,毛むくじゃらで,まさにクマのぬ いぐるみのようなハチです。  日本には全部で24種類のマルハナバチ類がいますが,乙女高原には5(もしかした ら6)種類のマルハナバチ類がいます。ひとつの場所で,これだけの種類のマルハナ バチが見られるのはとても珍しいことなんだそうです。  乙女高原で花の写真を撮っている際に気付いたのですが,このハチ,どんなに顔を 近づけても、蜜を吸うのに一生懸命で,見向きもしてくれません。試しに指でそっと つついても,ちょっと足をあげて,イヤイヤをする程度です。  そんな友好的(?)で,観察しやすいマルハナバチを,東京大学大学院の学生さん で,乙女高原を調査フィールドにマルハナバチとオオバギボウシという草花の関係を 研究していらっしゃる国武陽子さんをナビゲーターにお願いし,じっくり観察するこ とにしました。  まず室内でお勉強。  「花はなんのために咲くんでしょう?」という国武さんの質問から始まりました。 その後の話を要約すると・・・  植物たちは子孫を残すために花を咲かせます。しかも,できるだけ、自分の花粉を 他の同じ種類の花のめしべに付け,他の花の花粉をもらって自分のめしべに付けたい のです。つまり,他の同じ種類の花と花粉を行き来させたいのです。植物は動くわけ にはいきませんから,誰かにそれを頼むしかありません。それが虫たちなのです。花 は運んでもらう見返りとして,あるいは,虫たちを引き寄せるために蜜を用意、場合 によっては花粉を必要分以上生産して虫に分け与え,また,きれいな花びらで虫を誘 うようになりました。  花たちは子孫を残したい,虫たちは食べ物を得たい・・・・両者の思惑が一致し て,花と虫たちのパートナーシップが成立したというのです。  花粉を運ぶ虫の中でも,マルハナバチはとても重要な地位を占め,もし,乙女高原 にマルハナバチがいなかったら,まったくたねをつけることのできない植物がたくさ んあるそうです。 ※もちろん,植物の中には花を咲かせないものもありますし,花粉を運んでくれるの は虫ばかりではないのですが,煩雑になってしまうので,ここではその説明は省きま した。ここで言う花とは「虫媒花」のことです。  それから外へ出て、午前中は,この時期、乙女高原で見られる4種類のマルハナバ チをじっくり見て,見分けられるようにしました。  遊歩道を歩きながらマルハナバチを見つけ,見つけたら国武さんの資料を参考にし ながら「これは○○マルハナバチでしょう」と見当をつけ,合っていたら,スタッフ からマルハナバチ・シールがもらえます。  堂々としていて,胸のオレンジ色とお尻の黒のコントラストがはっきりしているト ラマルハナバチ(通称トラちゃん),トラちゃんより小さくて,全体的にレモン色の ミヤママルハナバチ(ミーちゃん),トラちゃんよりずっと大きくて,お腹が上から 白・黒・黄色の3色になっているオオマルハナバチ(オーちゃん)が見つかりまし た。  ナガマルハナバチ(ナーちゃん)だけ見つからなかったので,林道を少し歩いて, ツリフネソウの前で待っていたら・・・来ました。胸が黄色くて,横一文字にオレン ジ色の筋があるナーちゃんです。ナーちゃんは,これら4種類のマルハナバチの中で 一番舌が長く,筒の長い花の蜜を吸うのが得意です。今,乙女の草原では筒の長い花 があまり咲いておらず,一方,林道脇にはたくさんの筒の長いツリフネソウが咲いて いるので,こっちに来ているのだろうということでした。  午後は簡単なマルハナバチ調査をしました。調査することで見えてくること・・・ があるんですよねえ。  第一に,国武さんが選んだ5つの花の中から自分の好みの花を2つ選んで(最終的 に,どの花も4人が調べるようにしましたが),その花の前に15分間ずつ,ずっと 座っていてもらい,じーっと見つづけてもらいます。そして,マルハナバチが来た ら,用紙に記入してもらいました。  お店(花)の前で,どんなお客(マルハナバチ)が何回来るかを調べようというこ とです。  第二に,今度はマルハナバチを見つけたら,見失うまでずっと追跡してもらい,訪 問した花を用紙に記入してもらうということです。  一人のお客さん(マルハナバチ)を「ストーカー」して,どんなお店(花)に行く かを調べようということです。  2つの調査が終わったら,室内で,みんなのデータを集めて,まとめてみました。  第一の調査では・・・  調べた5種類の花に何回マルハナバチが訪れたのか,その合計だけで比べてみる と,一番人気はノハラアザミの15回。次がヤマハギの14回,ヒメトラノオの12回と続 きます。  ところが,細かく見ると,ヤマハギは14回全部がミーちゃんで,ヤマハギのお得意 さんはミーちゃんだけなのです。一方,ヒメトラノオはトラちゃん3回,ミーちゃん4 回,オーちゃん4回,不明1回と,いろんなマルハナバチが訪れていることが分かりま した。  では,ヤマハギとミーちゃんは深い仲で,誰も二人の中に割って入れないのか・・ ・・と思いながら,第2の調査をまとめてみると・・・  黒板に模造紙を貼り,上にマルハナバチの名前を,下に訪れた花の名前を書き,ハ チが訪れていたら,ハチと花を線で結んでみました。  そしたら,もちろんミーちゃんとヤマハギは15人が観察していてダントツだった のですが,ミーちゃんは他の花にも訪れていて,合計6種類の花に来ていました。ト ラちゃんは9種類,オーちゃんはなんと11種類もの花に来ていました。  模造紙に線を書いたら,もうほんとにごちゃごちゃしてしまって,「ああ,それだ け多様な関係があるんだな」と思いました。 ------------------------‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ ご意見/ご感想/情報はこちらに・・・ [mailto:xxxxxx@j-gate.net] バックナンバーをご覧になりたかったら・・・・ http://www.otomekougen.npo-jp.net/mailmagajin.html 乙女高原ファンクラブのホームページは・・・・・ http://www.otomekougen.npo-jp.net/ 「ウエちゃんの乙女高原自然観察記」は・・・・ http://www.otomekougen.npo-jp.net/observ/observ_top.htm ※この号は298人の読者の皆さんにお届けしています。このメールマガジンは無料 でお届けしています。ご紹介くだされば送るようにしますので,アドレスとお名前を 教えてください。