□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■    乙女高原ファンクラブ 公認  乙女高原メールマガジン 第069号 2003.4.19. 発行者:植原 彰 (乙女高原のある町・牧丘町在住) □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ○○○乙女高原リアルタイムレポート○○○   まだまだ雪の中。深いところで83センチの積雪!       ■2003年4月13日の乙女高原■ ●里は春  柳平や乙女高原へ向かう林道の起点・杣口(そまぐち・・・「杣」とは「きこり」 という意味です)あたりの雑木林はまさに春。キブシやツノハシバミといった「風に 花粉を運んでもらう木」の花がまっさかりです。目立たない花なんですが,目を近づ けてみると,意外ときれいなんですよ。ツノハシバミのめしべの先がまっかっかな の,見たことあります?  車を止めて,写真を撮っていると,コガラやヒガラといった小鳥たちがうるさいぐ らいに春の歌を歌っています。お,それに混じってミソサザイの高くて変化に富んだ 声が聞こえてきました。ミソサザイの声が聞こえるのですから,近くに沢があるので しょう。この鳥,1円玉10個分(10グラム)程度の体重しかないのに,よくぞここ まで大きな声で,しかもほとんど一日中鳴いているもんだと感心します。  車を進めていくと,だんだんまわりの景色が冬っぽくなってきました。 ●林道が雪でいっぱい  途中からポツポツと雪が見え始め,そのうち,林道の端が雪に埋もれているように なりました。すでに夏用タイヤにはきかえていたので無理はせず,道幅が広くなって いるところに車を止め,そこからは歩くことにしました。  木道のある湿地まで行くと,そこから先は,林道が完全に雪に閉ざされていて, びっくりしました。だって,もう4月中旬ですよ。なのに,こんなに雪があるなんて ・・・。さすが標高1700メートルの乙女高原です。  今回はクロスカントリースキーではなく,スノーシューを持参しました。スノー= 雪,シュー=靴(シューズはこの複数形です)。長細いプラスチックのお皿の上に バックルで靴を固定するって感じの道具です。これをはくと,雪の中でもズボッと沈 まないように歩けます。「西洋かんじき」とでも言えばいいでしょうか。  ここで,スノーシューを装着し,登山道に入って,乙女高原を目指しました。 ●4月中旬の乙女高原はまだ冬景色  草原に着いて,さらにびっくり。日当たりがよく,雪解けの水がどんどん流れてい きそうな南向きの斜面の一部では枯れ草が見えていましたが,草原のほとんどがまだ 雪の下でした。  日陰で,雪にストックを刺して測ってみたら,なんとまだ83センチもの積雪があ りました。クロカンスキーやスノーシューを持ってないと,とてもじゃありません が,歩けません。  でも,日差しはとても強く,半そででちょうどいいぐらいだし,草原にはホオジロ のさえずりが満ちていて,まわりの雑木林からは,アカゲラのドラミングの音が絶え ず聞こえてきています。 ●雪解け草原の「えぼじ」  「えぼじ」って言葉知ってますか? たぶん山梨の峡東地方の方言だと思うのです が,「落書き」って意味です。「落書き」の中でも,絵にも字にもなっていないグチャ グチャしたもの・・・というニュアンスがあります。  毎年,雪解けの季節に乙女高原に行くと,草原のいたるところに「えぼじ」が見え ます。まるで,子どもがシャベルを使って書いたみたいです。  一つの「えぼじ」は大きくとも1メートル四方におさまるくらいのサイズです。途 中,地下トンネルへの入り口があったり,いもむし型の土の塊があったり,小さな細 長い糞が見つかったりします。雪の下の方で,草原のネズミたちが冬の間に暮らして いた痕跡だと思うのですが,どうも解せない部分があります。  トンネルがあったり,窪みがあったりというのは「そこを通路にしていた跡」と考 えられますからいいのですが,いもむし型の土の塊っていうのが,わかりません。塊 の中に,ちくわみたいに穴があいていて,そこを通路として使っていたのかなあと思 い,いくつか調べてみましたが,どれも穴はあいていませんでした。いったい,この いもむし型の土の塊は何??? ●ノスリの遊び飛び  グリーンロッジ前のベンチでお昼を食べていたら,遠くからとんびに似た声が聞こ えてきました。草原のタカ・ノスリです。のんびりと下がったり上がったりを繰り返 しています。まるで,遊んでいるように見えました。  双眼鏡で見てみると,下がる時には翼を閉じています。そのままでは急降下になっ てしまいますが,途中で翼を広げると,今度は体が上を向き,空を上がっていきま す。やがて登るスピードは落ち,一瞬,ノスリの体が空中に止ります。すると,彼 (彼女?)は,また翼を閉じて,空を下がっていきます。ヒヨドリの飛び方をスロー モーションで,しかも大げさにやっているような感じです。やっぱり,どう見ても遊 んでいるように見えました。  双眼鏡を外すと,彼(彼女?)の近くにもう一羽,飛んでいるのが見えました。2 羽は母母峠のあたりで大きく旋回しはじめ,空高く,双眼鏡でも見えないくらいの高 さまで昇っていきました。 ●湿地のカエルの卵  手塚小屋の跡地裏の湿地を訪ねてみました。雪解け水が集まっているためか,水量 が多いような気がしました。  少しずつ近づいてみると,おっ,ありました。カエルの卵。ラーメン状ではなく, イクラ状のカエルの卵。これはヤマアカガエルの卵塊です。  いくつか見つかりました。塊を数えてみると,11ありました。1匹のメスが一つ の塊を産んでいると考えられるので,これで11匹分です。これを「11腹」と言う こともあるそうです。橋の下流に,さらにもう一腹分ありました。  ラーメン状のヒキガエルの卵は,まだありませんでした。  ふと湿地に降りる土手を見たら,ふきのとうが3つ,花を咲かせ始めていました。  林道の冬季閉鎖は4月25日まで。いよいよ来週末から車を乗り入れることができ ますよ!! 皆さん,早春の乙女高原を,ぜひ,訪ねてみてください。  ・・・え,冬の間,どうして植原は乙女に行けたのかって? 乙女高原の自然環境 調査をするために,林道通過許可を取っていたんです。とはいえ,ぼくの車は決して 雪に強くはないので,歩く距離が長かったんですよ。 ------------------------‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ ご意見/ご感想/情報はこちらに・・・  mailto:xxxxxx@j-gate.net バックナンバーをご覧になりたかったら・・・・  http://www.otomekougen.npo-jp.net/mailmagajin.html 乙女高原.ファンクラブのホームページは・・・・・  http://www.otomekougen.npo-jp.net/ 「ウエちゃんの乙女高原自然観察記」は・・・  http://www.otomekougen.npo-jp.net/observ/observ_top.htm ※この号は,346人にお送りしています。「乙女高原メールマガジン」は希望する 方に無料で配信しています。まわりにご希望の方がいらっしゃいましたら,アドレス とお名前を「返信」してくだされば,メール配信のリストに加えます。  お互いに顔の見えるような関係の中でメール配信したいので,あえて自動配信の メールマガジン用ホームページ等は利用しておりません。