□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□    乙女高原ファンクラブ 公認  乙女高原メールマガジン 第093号 2004.2.28. 発行者:植原 彰 (乙女高原のある町・牧丘町在住) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・   ▲▼ も く じ ▼▲ NEW! 0.【ニュースニュース】 NEW! 1.【報告】 第3回乙女高原フォーラム           高橋佳孝さんのお話 その3    2.【募集】 2004年3月14日 総会と座談会    3.【募集】 第2期乙女高原案内人養成講座 ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■   0.【ニュースニュース】 ●@このところ暖かい日が続いていますね。ぼくの職場では夕方,コウモリが飛んで いてびっくりしました。だって,冬眠するんですよ,コウモリ。もう目覚めてしまっ て大丈夫かな?って思いました。2月21日に乙女高原に行ってきましたが, 午後3時 を過ぎてもシャツ1枚で過ごせる暖かさ。雪は「食べ終わりの頃のシャーベット」状 態でした。 ●Aいよいよ3月1日から,第2期乙女高原案内人養成講座の応募が始まります。申し 込み用紙がありますので,ほしい方は,ぼくに返信してください。 ●B乙女高原ファンクラブの次回世話人会は3月3日(水)の午後7時30分から牧丘 町総合会館2階です。来年度の事業計画,ファンクラブ総会,座談会について話し合 います。 ●C3月6日(土)午後1時半から,市民山梨学講座「山梨の山」の講座の一つとして, 植原が乙女高原での保全活動についてたっぷり2時間話をします。ぜひ,聞きに来て ください。会場は甲府市の県生涯学習推進センターセミナー室(県庁の南のビル。旧 西武)です。 ●D3月14日(日)の午後2時から乙女高原ファンクラブ総会。引き続き,座談会が開 催されます。今回,話題提供してくださるのは乙女高原にもっとも近い集落であり, 戦後,開拓された地域でもある柳平にお住まいの水上さんです。どんな話をしてくだ さるか,とっても楽しみです。 ------------------------‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐     1.【報告】  ●第3回乙女高原フォーラム・高橋佳孝さんのお話 その3●   ◆高橋さんのお話のもくじ(概要)◆   テーマ:草原の復活に向けて −草原の多面的価値と新しい活用の方向− 済1.草原は里山の自然である・・・(メルマ091号) 済2.草原は文化的遺産である・・・(メルマ092号) ●3.草原は豊かな空間である・・・・・・・・・・・・・・・今回のお話  4.草原は失われつつある  5.草原の価値が見直される  6.人畜一体総力戦で草原再生へ  草原は,森林を破壊してできた空間ですから貧弱な空間のようにも見えるんですけ ど,見方によってはとても豊かな空間であるということがいえます。  草原を維持するためには,先ほどもお話しましたように,森林化を防がなければな りません。それは,なにも草原という景観を維持するために行ってきたわけではな く,草が不可欠だから行ってきたにすぎません。  ひとつは,肥料や家畜の飼料として,草が不可欠だった。あるいは放牧場として, そこに必然的に草原が維持されてきました。  もう一つは,火入れをすることで,木の進入を防いで,草刈りのしやすい,あるい は春の芽立ちのよい草原をつくってきました。また,ダニの被害を防ぐために火を入 れてきた・・・など,いろいろな理由がありました。「利用」という形態ではないん ですけど,草原を維持するために一番効率のいい方法が火入れであり,それを採草や 放牧と組み合わせてやってきたわけです。  もちろん,草刈りをしていれば火入れをする必要はないわけです。木も一緒に刈り 取ってしまうし,刈った草をそこに残すこともしないわけですから,いいわけです。 ですが,草刈り場が広くて,全部を人手で維持できないようなところでは,火を入れ るのが一番簡単な方法です。  草原の成立状況を見てみましょう。  草原を放っておくと局相林になります。この辺ではブナ林でしょうか。局相林にな る前段階として二次林になります。いわゆる里山林です。里山林も伐採が強度になる と,あるいは伐採跡地は草原となります。  草原を,木本の侵入をゆるさず,ずっと採草や火入れを続けると,ずっと草原の姿 で維持されます。草原でも,利用のされ方が強くなりますと,ススキのような植物は 衰退して,踏みつけや採食に強いシバのようなものが出現して,それが繰り返されれ ば,シバ草原が維持されます。  このような維持管理の繰り返しが何百年も続いてきて,日本の草原というのは現在 の姿になったわけです。ですが,放置されれば,当然,林に戻っていきます。  年に一回あるいは2年に一回,秋に干し草刈りをするようなところは,ススキやネ ザサの草地になって,背丈の高い,秋の七草のようなものが生えてきます。  そういう植物に依存している昆虫類もいます。例えば,三瓶山にもいるウスイロ ヒョウモンモドキというちょうちょです。この幼虫はオミナエシの葉を食べますの で,オミナエシが生えられるような草原を維持しないと,絶滅する運命です。草原を 放っておけば森林になってしまいますから,困ってしまいます。県で,今,苦心して ちょうの保護策を考えています。  一方,火入れをすると後は真っ黒になって,春植物にとって都合のいい条件になる わけです。で,ハルリンドウ,フデリンドウ,キスミレのような春植物が火入れ後, ばーっと咲くわけです。これも火入れ地の一つの風物詩です。  放牧場は独特の景観を呈します。それは,牛の食べない植物が残っていくからで す。その一例がオキナグサで,牛にとっての毒物質を持っているからです。  ツツジもそうです。阿蘇の草千里のミヤマキリシマやレンゲツツジといったツツジ の仲間は牧場の中にたくさん出現します。群馬の湯の丸というところに天然記念物の レンゲツツジ群落があるんですが,あそこはもともと牧場なんです。牛や馬によって つくられたレンゲツツジ群落なんですね。その景観はまるで日本庭園のように見えま す。芝生が広がっていて,ところどころにツツジの株があるという・・・。これを庭 園状群落といいますが,この独特の景観を牛がつくっているわけです。  ここには牛の糞に依存している,絶滅危惧種ダイコクコガネもいます。  それぞれ,独特の生態系が形づくられるというわけです。  野草地というのは,土壌への有機物の供給が多くて,長い年月維持されている野草 地というのは,粒状構造が非常に発達しているんです。これは非常に透水性・排水性 そして保水性のよい土層でして,牛に踏まれるものですから,表層部に固い部分はで きて,土壌の表面を流れてしまう水も多いのですが,その下に粒状構造が結構発達し ているので,保水性や透水性もよくなります。ある意味では,森林にない保水性を もっているともいえます。  ただし,このような構造をつくるには20年かかります。ですから,草原が火入れな どで維持されたとしても,20年たたないと,生態系というのは土壌を含めて安定しな いということです。  開けた空間は,人びとにとってあこがれの空間です。阿蘇の草千里や戸井岬などは ツーリズムの対象として非常に高い評価を得ています。特に,人と家畜が触れ合う空 間が今なかなかないわけですから,子どもたちにとって,草原よりもむしろ動植物に 興味を持つわけです。  それを具体的に評価したのが品田さんです。「やすらぎ感」という評価軸で見た場 合,どういう植生が評価が高いかというと,じつは草原や芝生が一番高かったんで す。自然度の一番高い極相林は意外と低いんです。その中間に里山の広葉樹林が入っ てきます。たぶん,それは空間の明るさだろうといわれています。 (その3 終わ り) ------------------------‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐     2.【募集】  ●2004年3月14日 総会と座談会●  座談会では,乙女高原にもっとも近い集落・柳平にお住まいの水上さんから話題提 供していただいた後,参加者全員で,乙女高原について話し合います。 ●日時 2004年3月14日(日) 午後2時から5時まで ●会場 牧丘町総合会館 ■問い合わせ・申し込みは・・・乙女高原ファンクラブ事務局  牧丘町役場地域活性課内   〒404-8550 (山梨県東山梨郡牧丘町窪平350)   0553-35-3111(内141)   ファックス0553-35-3733   E-mail otome@town.makioka.yamanashi.jp  ------------------------‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐     3.【募集】  ●第2期乙女高原案内人養成講座●  以下は概略の紹介です。詳しくは http://www.otomekougen.npo-jp.net/2004_interpreter.html 〇主催:乙女高原ファンクラブ 〇期日と会場  第1回 4月18日(日) 牧丘町総合会館 牧丘町窪平(文化ホールの近く)  第2回 5月23日(日) 乙女高原グリーンロッジ 牧丘町北原(乙女高原)  第3回 6月6日(日) 乙女高原グリーンロッジ 牧丘町北原(乙女高原) 〇定員:30名で,先着順。   申し込みの受け付けは3月1日午前10時から始めます。 〇費用:講習会費用は3回分合計で1000円。  登録する際にはさらに登録料2,000円が必要。 ------------------------‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ ご意見/ご感想/情報はこちらに・・・  mailto:xxxxxx@j-gate.net バックナンバーをご覧になりたかったら・・・・  http://www.otomekougen.npo-jp.net/mail_mag/ 乙女高原.ファンクラブのホームページは・・・・・   http://www.otomekougen.npo-jp.net/ 「ウエちゃんの乙女高原自然観察記」は・・・ http://www.otomekougen.npo-jp.net/observ/observ_top.htm ※この号は,397人にBCCでお送りしています。「乙女高原メールマガジン」は 希望する方に無料で配信しています。まわりにご希望の方がいらっしゃいましたら, アドレスとお名前を「返信」してくだされば,メール配信のリストに加えます。  お互いに顔の見えるような関係の中でメール配信したいので,あえて自動配信の メールマガジン用ホームページ等は利用しておりません。 以上。