file No. 0203
Date 2002/7/7
タイトル 乙女はオトシブミ・パラダイス


file No.0201 で乙女高原のありふれた草であるイタドリを観察していた ら,葉を巻く虫たちがいて,楽しませてもらった話をしました。一つはハマキチョッ キリの仲間で,もう一つはオトシブミ(※)の仲間でした。
このとき見つけた落とし文(※)は5ミリ程度の小さなものだったのですが,今 日(7月7日)はそれよりずっと立派な落とし文を見つけることができました。

※オトシブミ
昔,想いを寄せる女性に書いたラブレターを,わざとその女性の歩いている前に 落としておく,「落とし文」という優雅な風習があったそうです。
昔のラブレター(手紙)ですから,もちろん,巻き紙に筆で書かれていました。こ の虫の落とす「自分の子どものために作ったロールキャベツ状の葉の巻物」をこのラ ブレターに見立てて,葉を巻くこの虫をオトシブミ(類)と呼んでいます。
このお話では,葉を巻かれたロールキャベツみたいなのを落とし文と表記し,落と し文を巻いた虫をオトシブミと表記しています。

どうです? 見事でしょう? 長さが2センチ以上もありました。
思わず「オオッ!」と声をあげながら写真を撮り,落とし主がいないか,まわりを探してみると・・ ・

すぐ近くに虫発見!
よく見ると,1枚の葉っぱの根本から1/4くらいのところに両側から切れ込みを入れて いました。
ちょうど真ん中の筋(一番太い葉脈)1本で,残り3/4の葉を支えているって感じです。 葉はそこから折れていて,いつ下に落ちても不思議はなさそうでした。
その葉の裏側にまわってみて,びっくりぎょうてん!!

この写真でわかるでしょうか?(クリックすると拡大できます。「戻る」を使ってください)
葉の真ん中の筋(葉脈)のところどころに,ひっかいたような傷が付けられています。 葉っぱの先端の葉脈もよく見てください。一つ一つの傷は浅いようですが,明らか に引っかき傷がたくさん(密度が高く)付いているのがわかります。

これを見て,ウエちゃん,考えました。 「このオトシブミ,きっと葉を巻くときに邪魔になる太い葉脈にあらかじめ傷をつ けて,折りやすくしているに違いない。これって,折り紙の折りぐせと同じじゃん!!
しかも,巻くときに中心となるところでは巻き方が細かくなるので,落とし文の中 心になる葉の先端の部分には,その分,たくさんの折りぐせを付けているにちがいな い。この小さな虫の,なんとすごい折り紙・・・もとい・・・折り葉の知恵よ!」

とまあ,オトシブミの大ファンになってしまったウエちゃんは,草花や木々の葉っ ぱを見るたびに「落とし文はないか? オトシブミはいないか?」が気になるように なってしまいました。

そうしたら・・・

結構見つかるんですよね,落とし文。
これはクガイソウの葉で見つけた落とし文です。葉が全部切り取られていないの で,ずっと空中にぶら下がりっぱなしの落とし文です。
落とし文にも,いくつかタイプがありそうです。

この写真はヤマハギに付いていた落とし文の写真ですが,4つの落とし文が写って いるのが分かりますか?
これは,小さな小さな落とし文です。

ヤマハギの落とし文を作った張本人の写真がこれです。下に本人の作品も一緒に写 し込んでおきました。

・・・とまあ,葉っぱに落とし文を見つけては,落とし主はどこかにいないか? と観察を楽しんでいます。
もう少しじっくり時間が取れれば,1匹のオトシブミがどうやって葉を巻き,あの ゲージュツ的な落とし文を作っているのか,その実態を根気よく写真に記録したい のですが・・・・

皆さんも乙女高原で落とし文を探してみませんか?
その様子をぜひ,メールで教えてくださいね。

ウエちゃんの乙女高原自然観察記の一覧へ戻る


「ウエちゃんの乙女高原自然観察記」を読んだご意見・ご感想をお寄せください。

Copyright(c)2001 OtomekougenFunclub. All rights reserved