file No.0201 で乙女高原のありふれた草であるイタドリを観察していた
ら,葉を巻く虫たちがいて,楽しませてもらった話をしました。一つはハマキチョッ
キリの仲間で,もう一つはオトシブミ(※)の仲間でした。
このとき見つけた落とし文(※)は5ミリ程度の小さなものだったのですが,今
日(7月7日)はそれよりずっと立派な落とし文を見つけることができました。
- ※オトシブミ
-
昔,想いを寄せる女性に書いたラブレターを,わざとその女性の歩いている前に
落としておく,「落とし文」という優雅な風習があったそうです。
昔のラブレター(手紙)ですから,もちろん,巻き紙に筆で書かれていました。こ
の虫の落とす「自分の子どものために作ったロールキャベツ状の葉の巻物」をこのラ
ブレターに見立てて,葉を巻くこの虫をオトシブミ(類)と呼んでいます。
このお話では,葉を巻かれたロールキャベツみたいなのを落とし文と表記し,落と
し文を巻いた虫をオトシブミと表記しています。
どうです? 見事でしょう? 長さが2センチ以上もありました。
思わず「オオッ!」と声をあげながら写真を撮り,落とし主がいないか,まわりを探してみると・・ ・
すぐ近くに虫発見!
よく見ると,1枚の葉っぱの根本から1/4くらいのところに両側から切れ込みを入れて
いました。
ちょうど真ん中の筋(一番太い葉脈)1本で,残り3/4の葉を支えているって感じです。
葉はそこから折れていて,いつ下に落ちても不思議はなさそうでした。
その葉の裏側にまわってみて,びっくりぎょうてん!!
この写真でわかるでしょうか?(クリックすると拡大できます。「戻る」を使ってください)
葉の真ん中の筋(葉脈)のところどころに,ひっかいたような傷が付けられています。
葉っぱの先端の葉脈もよく見てください。一つ一つの傷は浅いようですが,明らか
に引っかき傷がたくさん(密度が高く)付いているのがわかります。
これを見て,ウエちゃん,考えました。
「このオトシブミ,きっと葉を巻くときに邪魔になる太い葉脈にあらかじめ傷をつ
けて,折りやすくしているに違いない。これって,折り紙の折りぐせと同じじゃん!!
しかも,巻くときに中心となるところでは巻き方が細かくなるので,落とし文の中
心になる葉の先端の部分には,その分,たくさんの折りぐせを付けているにちがいな
い。この小さな虫の,なんとすごい折り紙・・・もとい・・・折り葉の知恵よ!」
とまあ,オトシブミの大ファンになってしまったウエちゃんは,草花や木々の葉っ
ぱを見るたびに「落とし文はないか? オトシブミはいないか?」が気になるように
なってしまいました。
そうしたら・・・
結構見つかるんですよね,落とし文。
これはクガイソウの葉で見つけた落とし文です。葉が全部切り取られていないの
で,ずっと空中にぶら下がりっぱなしの落とし文です。
落とし文にも,いくつかタイプがありそうです。
この写真はヤマハギに付いていた落とし文の写真ですが,4つの落とし文が写って
いるのが分かりますか?
これは,小さな小さな落とし文です。
ヤマハギの落とし文を作った張本人の写真がこれです。下に本人の作品も一緒に写
し込んでおきました。
・・・とまあ,葉っぱに落とし文を見つけては,落とし主はどこかにいないか?
と観察を楽しんでいます。
もう少しじっくり時間が取れれば,1匹のオトシブミがどうやって葉を巻き,あの
ゲージュツ的な落とし文を作っているのか,その実態を根気よく写真に記録したい
のですが・・・・
皆さんも乙女高原で落とし文を探してみませんか?
その様子をぜひ,メールで教えてくださいね。
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