file No. 0205
Date 2002/7/23
タイトル クマのうんこはでっかいぞ


7月23日,10人ほどのパーティーで,乙女高原の近くにある山に登りました。登った といっても,道なき道を,「やぶこぎ」しながら進んだのですが・・・。
カラマツ植林地を抜けると,木と木の間が広く開いていて,太い木が多い,とても イイ感じの自然林に入りました。多いのはミズナラの木でした。
そして・・・探検隊は山頂付近で不思議な物体を見つけることになります。灰色の ふんわりした感じのかたまりです。大きさといい形といいアンパンにそっくりです。 そんなのが4こ,地面に落ちて(?)いました。

「ああ,それはクマの糞だよ」
山仕事を長くやってこられた方が教えてくださいました。
「え,これがクマの糞? どうして,こんなにふわふわした感じなの?」
顔を近づけて見たら,疑問が解けました。
ふわふわに見えていたのは,カビの菌糸だったのです。糞の表面を,綿菓子みたい なカビの菌糸が覆っていたもので,ふわふわした感じに見えたのでした。それにして も,でっかいです。自分の(人間の)ものと比べてみても,大きく見えました。 落ちていた木の棒を使ってほぐしてみると,なるほど,中からうんこが出てきて, それなりの臭いがしました。


※本文中の「クマ」とは,全てツキノワグマのことです。


写真を拡大して(写真をクリックすると大きくなります。戻したいときにはツールバーの 「戻る」を使ってください)見てみてください。なんか小さなごま粒のようなものがポツポツと 見えませんか?
虫めがねで見ると,アリの頭のように見えます。そういえば,うんこに,ものすごくたくさんの アリの足がミックスされているように見えなくもありません。
ウエちゃんは,こういうものを見つけた時にいつもするように,リュックから空フィルムケースを 取り出して,うんこの一部をこの中に入れました。
家に持って帰って,うんこの中身を調べるためです。うんこの中身を調べれば,クマが何を 食べているか,わかりますものね。

クマのうんこが見つかるような山です。山を歩いていたら,他にもクマの痕跡が見つかりました。 ・・・とは言っても,ぼくにはわからないのです。さっきの山仕事の方が教えてくださいました。

左の写真は,クマが爪を研いだ跡だそうです。
そして,右の写真は,枯れて倒れた木や枯れた切り株を壊して,中に住んでいるアリを 食べた跡なんだそうです。
「どうやって,あの大きなクマがちっちゃなアリを食べるんですか?」とお聞きしたら, 「アリの巣を壊すわけだから,アリが怒って出てきて,クマの前足を登っていくわけ。 それをペロリと,なめとるんだよ」と教えてくださいました。
山仕事をしている人と一緒に歩くと楽しいですよ,いろんなことを教えてくれます。

さて,家に帰ったウエちゃんは,さっそくうんこの分析にとりかかりました。 まずうんこの入ったフィルムケースに水を8分目まで入れ,十分シェイクしました。 そして,ふたをあけ,中のドロドロ水をうんこ分析専用の茶こしにあけました。 茶こしの中に残ったものを,そのまま水道の流水でよく洗い,紙の上にあけて乾かし ました。 そして,そのブツを野外仕様の小さな双眼実体顕微鏡で拡大して見てみました。

すごいです。おびただしい数のアリ,アリ,アリ!
光沢のある茶色っぽい(あめ色といったらいいのでしょうか)アリのバラバラ死体が, 顕微鏡の視野いっぱいに累々と・・・。こういっぱいあると,なんだかプラモデルの 部品が散らかしっぱなしになっているようにも見えます。
次に目立ったのは,木っかす。見た感じ,アリのバラバラ部品が全体の6割, 木っかすが3割,1割がその他といったところです。
山歩きの途中で山仕事の人から教えていただいた「クマは枯れて倒れた木や枯れた切り株を 壊して,中に住んでいるアリを食べる」というのを実証した形になりました。


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