file No. 0209
Date 2002/11/10
タイトル 「石の谷」での気づき・・・木が土を創る!?


11月10日、久しぶりに乙女高原へ行きました。
母母峠すぐ西の作業道にブルドーザーが置いてありました。おかしいなあと思い, 近づいてみると,後ろにブル道が続いています。この道を下ると,ぼくが勝手に 「石の谷」と呼んでいる場所に出るんだけど・・・。
案の定,作られたばかりのブル道は「石の谷」で終わっており,そこにユンボ (シャベルカー)がありました。
「石の谷」は不思議な場所です。その谷だけ,幅約20メートル,長さ約50メートル にわたって、たくさんの巨大な岩ばかりがごろごろあるだけなのです。まるで上流の 河原みたいで,岩の上をトントンと渡り歩かないとなりません。

どうも谷の岩を砕いて小さくし,それを持ち出しているようです。何枚か証拠写真を 撮りながら,調べていると,妙なことに気付きました。
谷の両側は森になっています。谷と森の境界線上に生えている木は,根の様子まで よく見えているのですが,土がとても薄く,よくこんな薄い土の中に根を張っている もんだと驚いてしまいました。

ここに生えている木々が気になって仕方なくなりました。こうなると,今まで「見て」 いたはずなのに「見えて」いなかったことが,いろいろと見えてきます。
このあたりには,あちこちに大きな岩が姿を見せていますが,石の上に木が生えて いるというような風景がいたるところで見られたのです。

ぼくの頭の中で「石の谷」と「石の上に生えている木」が結びつき,ここの森の 変遷が鮮明な映像として思い浮かびました。それは,こんなシナリオです。
ここらへん一帯は,以前は「石の谷」のように,石や岩がゴロゴロしている荒地 だったのでしょう。
それが,いつからか,少しずつ,その石の上に木が生えるようになりました。

乙女に生えるほとんどの木々は,秋になると葉を落とす落葉樹です。根本の岩の上 に落ちた枯葉が土壌動物や菌類によって分解され,本当に少しずつですが「土」が できていったのでしょう。

つまり,ここの土は,本当にゼロから,木々が血のにじむような努力をし,気の 遠くなるような時間をかけて(オーバーかなあ?)作ってきたものなのでしょう。

前の写真といい,この写真といい,なんか根っこが変な形をしていますよね?
今となっては,この謎も簡単にわかりますね。そうです。きっと,大きくカーブした この根っこの下には、以前,この根っこのカーブの形をした岩があり,なんらかの 理由でそれが外れて(落ちて? 砕けて?)しまったのでしょう。

この森の地面の下にはそんな「歴史」が隠されているに違いない・・・そう思うと, なんだかこの森に敬意を払わないといけないような気がしてきました。

※乙女高原の森を管理している県の森林環境部に問い合わせたところ,「ここの石は、 副産物として売り払いされてます。ぎりぎり自然活用地区からはずれているのを 地元保護組合に売っているのです。ちなみに石臼の材料として最適だそうです」 という返答をいただきました。
もし,皆さんのお近くに石臼があったら,それは乙女高原産かもしれませんよ。

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