file No. 0301
Date 2003/01/11
タイトル 雪の上に刻まれた「魂」たち〜2003年1月11日の観察記〜


(遅くなってしまい,間の抜けたあいさつなのですが,一応・・・)あけまして おめでとうございます。今年もできるかぎり乙女高原でぼくが見つけた「自然の 物語」を皆さんに紹介していきたいと思います。よろしくお願いします。
今シーズンは雪が多いですね。例年,太平洋側である山梨県でドカ雪が降るのは 1月下旬以降なんですが,今シーズンは昨年12月から降っています。
ぼくは元旦にも雪の乙女高原に行ったのですが,このときは林道を歩いてる限りは 長靴で十分でした。
ところが,今回は草原どころか林道さえも長靴では歩けないくらいの雪の量です。 ひざが埋まってしまうほどでした。しかたがないので,せっかく途中まで長靴で 歩いて来たのに引き返し,車の中に積んでおいたクロスカントリー・スキーに履き 替えて出直しました。


林道はこんなに雪!

今回の装備品一式。とっても暖かく,シャツ1枚で昼食を取りました。

クロスカントリスキーは不思議なスキーです。一般のアルペンスキーはスキー靴を 履くとまるで「ガンダムの足」になってしまいますが,クロカンスキーは ハイカットの(くるぶしが隠れる)スニーカーといった感じです。
また,つま先だけをスキー板に固定するので,かかとは上下に動かすことができます。 板は細長くて,軽く,裏にさかなのうろこのようなギザギザがついています。 じつはこのギザギザがすごい秘密兵器。これがついているおかげでスキーは前には すべりますが,これが雪にかむので,後ろには進みません(原理的には・・・。 技術的に未熟だと,もちろんすべります)。つまり,坂道を「登れる」スキーなの です。 しかも,さっきも言いましたとおり,かかとが上がりますので,なおのこと, 歩きやすいです。クロカンスキーを「歩くスキー」とも言うのは,こんな特徴から です。雪が深いところでは,長靴でもズボズボもぐってしまいますので,くつを クロカンスキーに履き替えて,自然観察をするってわけです。

さて,今回のタイトルはキザっぽく「雪に刻まれた魂」なんてつけました。英語で はsole(足の裏→足跡)とsoul(魂)がまったく同じ発音のため,「雪の 上の足跡は,真っ白い書物に記された魂だ」という表現があるそうで,そこから つけました。それくらい,たくさんのsoulが刻まれていたのです。

乙女高原で見つけたsoulたちを紹介します。


ノウサギの足跡

まずはノウサギの足跡。ぼくの「乙女高原メールマカジン 063号」でご紹介した通り, ノウサギは,まるでぼくらが(連続して)跳び箱を跳ぶように走っています。 まず小さな前足をトトンとついて,その前足より前に,大きな後ろ足をバンッと 同時について,大きくジャンプしています。ですから,  ・・=   ・・=   ・・=    といった感じについています。進行方向は→です。



テンの足跡

テンはイタチの仲間。大きな特徴は短足胴長な体つきです。そんな体つきのため, まるでシャクトリムシのように歩いていきます。ですから,足跡は2つずつ対に なってついているように見えます。前足をついた同じ場所に後足もついているので, なんとなく足跡が乱れているように見えることが多いです。



キツネの足跡

キツネは速いスピードで走るのが信条。そのためには肩幅を狭め,空気抵抗を少なく する必要があります。肩幅が狭いものですから,右足跡も左足跡もほぼ体の中心線の 真下に付きます。・・・となると,どんな足跡が残されるでしょうか?
そうです。ほとんど一直線にポツポツポツ・・・とついていきます。



ネズミの足跡

小さな足跡が対になって,ついていました。「ミニ」テン?・・・違います。足跡を よーくみると,対になっている足跡の真ん中に,何か細長いひものようなものを引き ずった跡が見られます。となると,これは「細長いしっぽを持った,小さな動物」と いうことになります。このように,だんだんと推理を進めていくと,だんだん足跡の 主の動物のシルエットがはっきりしてくるような気がします。
これは,ネズミ(アカネズミ?)の跡です。



雪の上を歩いていた虫

そうそう。林道を歩いていたら,なんか雪の上にゴミのようなものがあります。一面 真っ白なので,その「ゴミ」が目立っています。なんだろう?と見ていたら,その 「ゴミ」が動き出すではないですか! びっくりして,近づいてみると,なんと6本足。 昆虫だったのです。羽は・・・見当たりません。ガガンボ(かとんぼ)の羽をとった ような姿かたちでした。 たいがいの虫は,見れば何の仲間(チョウの仲間,ハチの仲間,カメムシの仲間・・・) か見当がつきますが,まったく見当がつきませんでした。 それにしても,虫は変温動物のはずなのに,標高1700メートルの冬に出てきて, しかも,雪の上を歩いているなんて,いったいどういうことなんでしょう??  「雪の上を歩く虫」の情報をお持ちの方,ぜひ,教えてください。

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