file No. 0305
Date 2003/06/05〜2003/07/25
タイトル イタドリ取り大作戦 −2003年6月5〜7月25日の観察記−


ここ2ー3年,乙女高原の草原で,イタドリという草が勢力を急速に拡大しています。 もしかしたら,初冬に行っている草刈りと,人が草原内に入れないようにやっている 遊歩道のロープ張りが,彼らにとってものすごく居心地のいい環境を作っているの かもしれません。

昨年,このイタドリをなんとかしようとして,盛夏にイタドリだけを刈ってみました。 見事に失敗でした。というのも,イタドリは他の草に先んじてニューッと大きくなり, まるで他の草の芽の上に傘をかけるように葉を広げてしまいます。他の草が陰になり, 成長することができません。ですから,盛夏にイタドリを刈ったところで,ほかの 草が元気になるというわけではなく,かえって,イタドリを刈ったところに帰化植物を はびこらせる結果になってしまいました。

そこで,今年はイタドリがニューッと伸びてきたころを見計らって,イタドリを刈り 取ってみました。きちんとデータを取るために,草原内に10メートル四方の正方形 (植物調査の用語で「コドラート」といいます)をとり,その中だけ,イタドリを全部 刈り取ってみて,他の場所と比較してみました。


これがイタドリ取り大実験を行った場所です。


イタドリ取りは2003年6月5日に行いました。・・・というか,県と町の職員の 方々にやっていただきました。というのも,ぼくらがボランティアとして行うためには, どうしても日曜日に作業日を設定しなければなりません。でも,それでは多くの観光客の 前でイタドリ刈りをしなければならないので,誤解を生むのではないかと心配したからです。

コドラートは2箇所とりました。一つはイタドリ群落のど真ん中。もう一つはイタドリ群落の 端っこです。ただし,このレポートでは,ど真ん中のコドラートと対照区(イタドリを 取らなかった場所)を比較することを主眼にします。


10メートル四方のコドラートから長さ30センチ以上のイタドリ144本,30センチ未満の イタドリ289本,計433本のイタドリを根本から刈り取り,持ち出しました。


刈った直後,6月7日のコドラートの様子です。ロープの手前にイタドリがあるのが わかりますか? アスパラみたいな感じの草です。

6月21日の様子です。コドラート内はシダが目立っていますが,対照区では, いよいよイタドリが伸びてきました。

7月4日の様子です。コドラート内では刈り取り後に芽を出したイタドリもありますが (画面右下),そんなに大きく,また,数(被度)を増やすわけでもなく,ヤナギラン, クガイソウ,ヨモギといった他の植物たちが元気に育っています。ですが,対照区を見て ください。ほとんどイタドリ・ジャングルと化してしまいました。

7月25日の様子です。コドラート内ではいよいよ夏のお花たちが咲き始めました。 アザミの濃いピンク,ヒヨドリバナの白,クガイソウの赤紫といった花が目出っています。 ですが,対照区では,ますますイタドリ・ジャングルになっています。もうぼくの背丈より 高くなりました。かろうじて2−3本のカラマツソウがイタドリの屋根より高く花を咲かせて いますが,ヤナギランやクガイソウはひょろひょろ伸びてもイタドリに高さで負けています。


地面はこんな感じで,もやしのような草が少しだけ生えているような状況でした。

以上のことから,イタドリがニューッと伸びるころを見計らって,年に1回でいいから, イタドリだけを選択的に刈り取れば,一番効率よくイタドリを少なくできるのではないか・・・ というのが,今のところの結論です。

イタドリを根絶しようとは思いませんが,今のままではあまりにも急激にイタドリだけの 群落が拡がりすぎで,しかも,その勢いが衰える様子が見えません。
そんなことから,来年は,一度,「イタドリ刈り」というボランティア・イベントを 行ったらどうかと思います。この件について,ぜひ,ご意見をください。

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