file No. 0402
Date 2004/07
タイトル いもむし・けむしのファッションショー


乙女高原を歩いていると,草や木にいもむし・けむしを見つけることがよくあります。人気がある生き物 ではないのですが,ぼくは見つけるたびにそのデザインに感心させられます。

サッカーのワールドカップのとき,よくサポーターたちが顔に国旗や色とりどりのラインを描いていたのを 覚えていますか? フェイス・ペインティングというそうですが,彼ら(いもむし・けむしたち)は生まれつき, ああいう色・柄・デザインをまとっているのですから驚きです。

「キモチワルーイ」という人も,ぜひそんな偏見を捨てて,じっくりながめて見てください。 いもむし・けむしが人を襲ったという話は聞いたことありませんから・・・。

まずは里でもよく見かけるキアゲハの幼虫。里ではニンジンやパセリ,ミツバなどにいます。これらの 植物の共通点,わかりますか?そう,セリの仲間(セリ科)です。乙女高原ではよくシシウドの葉で 見つかります。この派手派手なのは終齢(5齢)幼虫。今度,皮を脱いだら蛹になります。

これは同じキアゲハの幼虫ですが,4齢幼虫です。4齢まではこんなふうに,まるで鳥の糞のような 大きさ・形・デザイン(白いところまであったりして・・・)ですが,終齢になると,一挙に派手になる というわけです。
キアゲハの成虫です。乙女高原では,このコオニユリがキアゲハのお気に入り。花粉だらけになりながら, 一生懸命蜜を吸っています。花の色といい,向きといい,大きさといい,おしべやめしべが飛び出している ところといい,おしべの先の花粉袋(「葯(やく)」といいます)がブラブラ動くところといい,花粉が ベトベトしているところといい,どうもコオニユリもキアゲハに来てもらいたくて仕方ないようです。
「乙女高原メールマガジン」でも何度か取り上げたことがあるヒョウモンエダシャクの幼虫です。漢字で 書くと「豹紋(=豹柄の)枝尺(=尺取虫)」。レンゲツツジの葉を食べてしまう「害虫」です。 このいもむし,こんなに目立つ衣装で,しかも,物陰に隠れるようなことはしません。「鳥にでも 襲われないのかなあ?」と心配になります。でも,心配ご無用。レンゲツツジは有毒植物で, その有毒成分を体の中に貯めておくので,自身も有毒昆虫になってしまうんだそうです。派手なルックは 「オレは毒を持っているんだぞ!」という警戒色です。
ヒョウモンエダシャクの成虫も派手派手ルック。蛾のくせに(?!),真昼間から堂々と花の蜜を 吸っています。これも幼虫時代に貯めた毒のおかげです。
林の中のミズナラの枝で見つけた,きれいな緑色の毛虫。スケスケのナイトウェアみたいで,よく見ると, 体のラインが透けて見えています。図鑑で調べたらヒメヤママユの幼虫でした。
そういえば,乙女高原でヒメヤママユの成虫を見たことがあります。ロッジの敷地内です。きっと人工的な 明かりに引き付けられてしまったのでしょう。この写真は去年(2003年)の9月14日にとりました。
こんな水玉模様のいもむしを見つけたこともあります。名前はまだ分かりません。いもむし・けむしと 言えば,十中八九,チョウかガの幼虫ですが,このいもむし,どうもおかしいのです。持ってみると妙に 硬いし,チョウやガの幼虫はとがっている足が6本,吸盤みたいになっている足が8本,お尻に2本と 計16本(8対)の足を持っていますが,このいもむし,節ごとにずらっと足が並んでいるのです。 どなたか,このいもむしの正体が分かる方,教えてください。
このいもむしを見つけたときは,マジに「なぞの生物発見!?」と思いました。頭がどこかわかりますか? ]「舌をべーッと出している」ように見えるところじゃないんですよ。こっちはお尻。頭はその反対側です。 このいもむし,とがっている6本の足が異様に長くて,動いているところが,なんか不気味です。 エイリアンを連想してしまいます。これはシャチホコガの幼虫です。

そのほか,名前はわからないけれど,とっても乙女な(!?)いもむし・けむしたちを紹介しましょう。

完璧な迷彩色。
頭に2つのらくだのようなこぶがある。
これだけ毛が長いと,いろいろ不便では?

ウエちゃんの乙女高原自然観察記の一覧へ戻る


「ウエちゃんの乙女高原自然観察記」を読んだご意見・ご感想をお寄せください。

Copyright(c)2001 OtomekougenFunclub. All rights reserved